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13日は Abema Prime2018年07月12日 15時09分41秒

Abema Prime
1週間伸びて、13日(金)にAbema TV に生出演することになりました。

Abema Prime というニュース番組です。
「18トリソミーご家族の肖像」というコーナーです。
22時から40分放送されます。

ぼくは何か医学的なコメントをボソボソ喋るのだと思います。
ま、刺身のツマという感じでしょう。
メインは岸本さんという18トリソミーの心咲(みさき)ちゃんを育てているご家族です。

無料で見ることのできるネット番組です。よかったらご覧になってください。

親を送る(井上 理津子)2018年07月14日 23時25分32秒

親を送る(井上 理津子)
自分と親との関係性は、きわめて複雑でとても簡単に述べることができません。
梁石日は「血と骨」を書くことで、自分と父親との関係に何か決着みたいなものを付けようとしたのではないでしょうか? そしてそれに成功したのだと思います。
上原善広さんの「路地の子」はそれがうまくいかなかったのだと思います。
(余談ですが、「路地の子」をどう批評するかでその人のノンフィクションを読む実力が分かってしまいます)

ぼくもいつの日か、自分の親のことを書いてみたい。しかし絶対に売れないことは分かっているので、自費出版でもいいと思っています。
書くとなると、親戚筋から非難されるかもしれないな。ま、遺書代わりと思ってもらって勘弁してもらいましょう。

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(押見 修造)2018年07月14日 23時41分04秒

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(押見 修造)
Amazonでの評価も高いし、映画化もされるし、大変期待して読みました。
ただ期待が大きすぎたせいか、漫画の読み方を正しく理解していないのか、ちょっとだけ奥行きが足りないような気がしました。

自分が小学・中学生の頃、同級生に吃音の子はけっこういたような気がします。
しかしクリニックで子どもと接すると吃音の子にはめったに出会いません。
ぼくの個人的な体験では、吃音は減っている印象があります。理由は分かりませんし、科学的根拠もありませんが。

Amazonのレビューを読んでいると、「志乃ちゃんと自分は同じだ」という書き込みがありますが、ぼくはここまで言葉に詰まる吃音の子には会ったことがありません。
あそこまで言葉に詰まる子は、本当に生き方に困難を抱えると思います。

映画がどんな作品になるのかにも興味があります。

コンビニ外国人 (新潮新書) 芹澤 健介2018年07月18日 21時02分01秒

コンビニ外国人 (新潮新書)
現在ベストセラー中の新書です。
この本は、タイトルの勝ちですね。タイトルに惹かれて買いましたが、内容はルポというよりも評論に近い印象でした。
昨年、「ルポ 日本絶望工場」が大ヒットし、ぼくも大変面白く読んだので、そうしたノンフィクションを期待してしまいました。
非常に勉強になりましたが、文学作品としての力はもう一つ発揮できていないように思えます。

現在、日本には100万人の外国人が働いています。
永住権を持っている人、留学生、技能実習生とさまざまです。
日本政府は移民という言葉を絶対に使いません(右翼が強く反発するからでしょう)が、事実上、日本は移民を受け入れています。
(ただし難民は受け入れていない)
100万人と言えば、人口の1%ですから、大きな数字です。
我が家の近くのコンビニにも外国の方が働いています。
丁寧に接客してくれるんですが、宅急便をお願いすると対応できないんですよね。

日本は労働人口がどんどん減りますからこの動きは加速する一方でしょう。ロボットや AI が替わりを務めるという説もありますが、ロボットは税金を払ってくれませんからね。
しかしながら、外国人労働者が日本に永住していくと、やがて外国人の高齢化問題・医療福祉問題が出てくるかもしれません。

あと30年くらいしたら日本という国の形はかなり変わっているかもしれません。
ま。ぼくがそれを見ることはないでしょう。

選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子(河合 香織)2018年07月19日 22時14分21秒

選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子
おぼえていますか? 2011年の出来事です。
高齢で赤ちゃんを授かった母親が羊水検査を受けます。医師の説明では「結果は異常なし」。
母は赤ちゃんを生みます。しかしその子はダウン症でした。医師は検査結果を読み間違えるという初歩的なミスを犯したのです。
ダウン症の赤ちゃんにはTAM(一過性骨髄異常増殖症)などの合併症があり、生後3カ月で命を閉じます。
両親は裁判を起こします。

さて、訴訟の理由はなんでしょうか?
本人の言葉を聞くのが一番正しいのですが、この裁判は広く報道され色々な意見が飛び交いました。
一つは、ロングフル・バース訴訟という観点です。つまり親から見れば、生まれたことが間違いだった。正しい検査結果を知っていれば中絶できたという見方です。
もう一つは、ロングフル・ライフ訴訟という観点です。赤ちゃんから見れば、こんな辛い人生ならば生きたくなかった。自分が生まれて生きることが間違いだったという見方です。

本書を読むと、母は、医師に対して「赤ちゃんに謝って欲しかった」、「病気に苦しんだ3カ月を謝らなかったことが許せない」と言っています。それが訴訟の理由です。

日本の法律では、胎児の障害・病気を理由に中絶することは法的に許されていません。
しかし実際は、障害児の堕胎は日常的に行われています。母体保護法を拡大解釈して、なし崩し的に援用されている実態があります。
新型出生前診断(NIPT)は、「生まれる前にカップルが心の準備をするため」という目的で行われていますが、これが単なる建前であることは誰でも知っています。羊水検査で異常が見つかり、分娩に至るケースは3%に過ぎません。

そしてこの裁判は、両親が完全勝利しました。
ただし、ロングフル・バースも、ロングフル・ライフも認定しませんでした。
裁判所が認めたのは、「生まれる前に夫婦が心の準備をする」権利を奪われた損害に対する賠償です。
要するに、検査結果を間違って伝えたという医療ミスに対して損害賠償を認めた訳です。
赤ちゃんが亡くなったとき、医師が赤ちゃんに謝らなかったことに対して、賠償を命じたのではありません。

そう思うとこの裁判の意味はどこにあったのかと思います。
心の準備とはいったい何でしょうか?
母親は、21トリソミーと分かっていたら、絶対に中絶したとは言わないけれど、その可能性が高かったと言っています。
では中絶する権利を奪われたということでしょうか? それは違うとも母親は言っています。
しかしながら、判決文を読むと、心の準備の中には「中絶を選ぶ」ことも入っているように読めます。
読者のみなさんはこの本をどう読むでしょうか?

ぼくが最も印象的だったことは、母親が筆者に対してよくここまで取材に答えたなということです。作家としての誠実さが母親に伝わったからかもしれませんね。

A Child is Born 赤ちゃんの誕生(レナルト・ニルソン)2018年07月22日 21時18分07秒

A Child is Born 赤ちゃんの誕生
受精から誕生までの赤ちゃんの写真記録です。体内(胎内)の様子をよくここまで美しく撮影したものです。
われわれ夫婦の第2子は、24週、620gの死産でした(正確には早産で、生まれたとき、心臓は動いていた)。
この写真集を見ていると、ちょうどそのくらいの赤ちゃんが撮影されています。厳粛な気持ちになります。
このわずか2週前の、22週までなら人工妊娠中絶できるというのは何とも痛ましい感じがします。
12週までを前期中絶と言って、掻爬します。12週以降は中期中絶です。分娩の形を取ります。肺がまだ成熟していないので、心臓だけが動いている状態で生まれてくるので、酸欠で赤ちゃんは死ぬのですよね。何とも痛ましい。
写真を見ながら、命の尊厳について考えてしまいました。

学校は行かなくてもいい ――親子で読みたい「正しい不登校のやり方」(小幡和輝)2018年07月23日 16時36分09秒

学校は行かなくてもいい
不登校で苦しんでいる子ども、そしてその親は多いと思います。
不登校を解消する良い方法があれば、誰だって何の苦労もしません。解決策がないから苦しむんです。
そいうであれば、「行かなくてもいい」というふうに発想を変えることも一つの選択肢です。
それって「普通」であることを止めるということでもあります。
日本という国は、「普通であらねばならない」というプレッシャーがのし掛かってくる文化を持った国です。
特に親はそういう生きづらさを抱えています。
この縛りから自由になることは決して簡単ではありません。
しかし、現に「普通」から離れて幸せになっている人が、あんがい、たくさん周囲に居たりします。
考え方を少し柔らかくすると、生き方が楽になるかもしれません。
いい本でした。

いとしの印刷ボーイズ (奈良裕己)2018年07月25日 16時49分59秒

いとしの印刷ボーイズ
印刷会社を舞台にした漫画です。
毎回何らかのトラブルが発生することで、印刷業界の具体的な中身を紹介していきます。
専門用語を丁寧に説明してくれるのですが、それでもやはり難しかった。しかし業界の雰囲気は大変よく伝わってきて、面白くて一気に読んでしまいました。
この漫画は(珍しく)本屋さんで買ったのですが、Amazonを見たら現在ベストセラーなんですね。
いや、ほんとーに本は何がヒットするか分かりません。

いのちは輝く〜障害・病気と生きる子どもたち(22)2018年07月26日 08時57分47秒

連載第22回を書きました。
よかったら読んでみてください。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180629-OYTET50004/

次回からは「選択的治療停止」についてです。あまりにも病気が重篤なときに、医者は治療をしないことも考えます。
それを選択的治療停止と言います。

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間 (先崎 学)2018年07月27日 22時35分32秒

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間
プロ棋士のうつ病闘病記です。
あまりの面白さに一気に読みました。
面白いというのは、愉快という意味ではありません。興味深くて引きつけられてしまうのです。
ぼくは将棋についてまったく素人ですので、先崎さんという名前も知りません。
もし将棋ファンの読者が読んだらもっと面白かったでしょう。

うつ病の闘病記はたくさんあります。しかし大半は、ここまで重いうつ病の世界を描いたものではありません。
うつ病と言うと、気分が沈む病気と思っていましたが、脳の思考回路も切れてしまうんですね。
プロ九段の先崎さんが、7手詰めの詰め将棋が出来なくなってしまう場面は、実に象徴的で、うつ病の何たるかを見事に表現していたと思います。

この本には実はものすごい特徴があって、章立てが無いんですよね。
つまり目次がない。前書きも後書きもない。
最初から最後まで一つの文章で成り立っているのです。
ぼくにはこんな本を読んだ経験はありません。
なぜこういう本が書けるのか実に不思議です。うつ病と関係あるのでしょうか?
それとも普段からこういう本を書く人なんでしょうか?

ぼくは本を書く時に目次をまず作ります。次に小見出しを考えます。
すると書くべき文章が頭の中に思い浮かぶので、頭の中で文章を完成させてしまいます。あとはタイプするだけです。こういう一つながりの文章は絶対に書けませんね。

現在、大ベストセラー中です。文句なしにオススメです。