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発達障害の豊かな世界(杉山 登志郎)2018年05月04日 22時03分42秒

発達障害の豊かな世界(杉山 登志郎)
発達障害の世界を描いたメディカル・エッセイです。
大変面白い作品でした。文学性も高いと思います。学術性もあります。
さて、本書の白眉は何と言っても「てる君」の物語です。
彼は知的障害(IQ 30)を伴う自閉症です。その彼が16歳のときからものすごい勢いで絵を描き始めます。
絵そのものは特段うまいものではありません。
しかしながら内容がすごい。彼が幼稚園児だった頃のある1日、つまり24時間を連続した絵で描いているのです。
それも、書き手の視点が上下左右に次々と変化していきます。
こうして彼は、10年間で2000枚近い絵を描きます。その2000枚が、1日を表現している訳です。

これはもう不思議としか言いようがありません。
自閉症は、脳の機能のある部分が損なわれるので、それを代償するように他の部分が発達するという説があります。
1943年にカナーが初めて自閉症の存在を報告したときから、機械的な記憶力に優れているという指摘があります。
この「てる君」にもそういう記憶力と、空間を把握する認知力があったのでしょう。

読み物としても面白いし、勉強にもなります。
杉山先生は多くの本を書いていますが、その中でも代表的な1冊ではないでしょうか。

未来の呪縛 日本は人口減から脱出できるか (中公新書ラクレ) 河合 雅司2018年05月13日 21時58分13秒

未来の呪縛 日本は人口減から脱出できるか
「未来の年表」(講談社)が未来のことを書いたのに対して、本書では過去のことを書いています。
1975年の段階で出生率が2.0を切ったわけですから、本当はその時点で今日の少子化問題を予見できたはずです。
ところが自民党政権は何ら手を打ってこなかったことがよく分かります。
良い本なんですが、わずか1年だけ首相をつとめた鳩山さんを酷評し、安倍さんを持ち上げるのはどういうことなんでしょうか?
ここの部分だけ非常に政治的な色彩を帯びていて、どうかな? と思いました。
著者は元産経新聞。ああ、そうなんですね、、、という感じです。
最後に人口を増やすための10の提言が述べられています。
なるほどと納得させられますが、子どもの分と合わせて親が選挙で2票投票できるという提案は、どうなんでしょうか? 憲法改正が必要な気がします。

いのちは輝く〜障害・病気と生きる子どもたち(17)2018年05月17日 12時19分17秒

ヨミドクターに連載第17回を書きました。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180423-OYTET50033/

よかったら読んでみてください。

軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い(松本 創)2018年05月20日 22時37分03秒

軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い
福知山線脱線事故から13年。
遺族は事故の原因究明をJR西に求め、JR西はそれにどう応えようとしたか、それを描いた超力作です。

この本を書くのは本当に難しかったと思います。
ノンフィクションはただの記録文学ではなく、やはり起承転結に相当するものがあります。
遺族の視点で本書を作っても中味の薄いものに終わったでしょう。
それゆえ、JR西という会社を描いています。
両方を描くことで本書は成功しているとも言えるし、物語る流れが揺れ動いたようにも見えます。

しかしながら、事故とはなんだろうかということを強く感じさせました。
特に、JR西の天皇と呼ばれた井手正敬さんのインタビューがよかった。彼は、事故の責任は運転手にあり、会社の企業風土・精神には関係がないという立場なんですね。
遺族の思いにはまったく応えようとしないわけです。そこに絶対的な自信を持っている。

しかし人のやることには必ずミスがあります。
ミスにはやはりいろいろな種類があって、当人の単なる注意不足ということもありますが、個人の注意の限界を超えたケースで、組織としてミスを防ぐ手段を講じていなかったこともあります。

ただどうもミスを犯した人間は2通りに分かれるようで、ある人は2度とミスをしないと誓って慎重細心になり、またある人はミスを犯すことに鈍感になるように思えます。

運輸交通という仕事と、医療という仕事は、ミスが起きると人が亡くなるという意味で共通です。
JR西が福知山線脱線事故の現場を保存しているように、医療の世界もいったんミスが発生したら、その経験をすべての医師が共有の知にできる仕組みがあってもいいかと思います。

愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書) 岡田 尊司2018年05月25日 22時38分56秒

愛着障害 子ども時代を引きずる人々
子どもの頃に親からどういった愛情を受けたか、このことはその人の人格形成に大きな影響を及ぼすことは容易に想像がつきます。

ぼくは人として欠点が多く、大学病院に在籍していた間、ぼくの後輩はもしかしたらイヤな思いをしたこともあるでしょう。
現在でも毎日クリニックで多くの人と接していますが、ぼくは「お愛想笑い」はしませんし、「お世辞」も言いませんし、「猫なで声」も出しませんし、取っつきにくいと思っている保護者も多いかもしれませんね。

ぼくの最大の欠点は人を赦す能力に乏しいことです。
アントニオ猪木は師匠のカール・ゴッチを評して、「ゴッチは人を赦すことができない」と言いましたが、ぼくにもそういうところがあります。
謝っている人間を赦さないとか、ささいなミスに腹を立てるとか、そういうレベルではありません。
生き方が決定的に異なるような場面で他人と対立すると、まあ、水に流して・・・などと妥協することが苦手なんですね。

人間の生き方にはいろいろな価値があると思いますが、最も基本的で大事なことは、正義だと思います。もちろん正義と正義がぶつかって戦争になるわけですが、ぼくの言う正義はもっとささやかなものです。
つまりお天道様の下を堂々と歩けるような人生を歩んでいるかどうかです。
ぼくのように歳を取り、長く生きると、正しく生きていない人と衝突することがあります。
衝突しても、時間が経って和解すればいいのもを、ぼくは赦すことが上手にできません。
これはたぶん、自分の生い立ちに関係すると思います。

こうした欠点を直したいと思いつつ、こんな老人になってしまいました。
病膏肓に入るという感じです。
ま、死ぬまで治らないでしょう。

この本は、愛着障害をキーワードに、子ども時代を引きずる人々を描いていて大変勉強になりました。
筆者は東大文学部を中退していて、京大医学部を卒業したというのですから、天才的知能の持ち主ですね。
世の中にはそんな人もいるのだと感心します。

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち(田中 圭一)2018年05月26日 17時34分19秒

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち
まったくお恥ずかしい話ですが、流行語になった「うつヌケ」というものが何を指すのか知りませんでした。「うつけもの」みたいなものと思っていたのですが、鬱病からの脱出なのですね。そしてこれは漫画なのですね。で、早速読んでみました。
面白いし、ためになります。まるで講談社のキャッチフレーズのような漫画です。絵柄も大変いい。なるほどこれはベストセラーになって当たり前ですね。傑作だと思います。

ぼくは大学に勤務していたころ、異常な長時間労働をしていました。朝は遅くても7時には着いており、帰宅は教授が帰ってからでした。つまり21時過ぎです。ですから、最低でも14時間労働ですね。これが毎日続きます。
土日も自分の患者を診にいきますから、1年間で大学に行かない日は2〜3日でした。これに月6回の当直が加わります。
さらに、夜間の緊急手術になると呼び出しの電話がかかってきます。
当然、労働基準法には違反しています。
しかしながら、ぼくらの身分は文科省の職員で、大学はまだ独立行政法人になっていなかったために、労基法の適応は受けていなかった。
ま、過労死寸前まで働いていたわけです。

しかし鬱病になることはなかった。
なぜでしょうか? この本を読むと、鬱病になる人は、自分が嫌いであると書いてあります。
言われてみれば、ぼくは自分が必要とされていたと感じていたので、自分を嫌うことはなかったですね。
臨床も研究も教育も、すべて大学の大黒柱だったので、ぼくが居ないと組織が成り立たないと思っていたし、実際、そのプレッシャーに潰れるようなことはなかった。
自分を肯定できたわけですね。

しかし一時、鬱っぽくなったことはあります。
それは解離性脳動脈瘤を患って、仕事ができなくなった時です。
自分がこれまでに積み上げてきたキャリアがすべて崩壊するのかと思うと、強烈な虚無感に襲われました。
もう手術をすることができないというのも、辛かった。
つまり、大学から見たら、ぼくは必要な人間でなくなってしまったのです。
自分を肯定する材料がなくなったのでしょう。
自殺したいとか思いませんでしたが、気力がすとーんと落ちました。

それを救ってくれたのは、当時、脳外科の教授だった山浦先生です。
ある科の教授が、他科の医者を呼び出すなんてちょっと聞いたことのない話ですが、ある日、山浦先生から連絡が来て、教授室に呼び出されたのです。
そこで山浦先生が「今は辛いかもしれないが、時間が経てば必ず気合いが上がってくる」と諭してくれました。
ぼくはこの言葉に救われました。
先生にそう言って頂けなかったら、ぼくは鬱病になっていたかもしれません。
そのひと言によって、ぼくは気持ちが楽になり、精神的に上向いていきました。

なぜ山浦先生がぼくなどの医者をわざわざ呼び出して勇気付けてくれたのか、未だに分かりませんが、あのご恩は忘れることができません。

うつヌケ、オススメです。ぜひ読んでみてください。

おもたせしました。3 うめ(小沢高広・妹尾朝子)2018年05月27日 12時42分11秒

おもたせしました。3
文学Xグルメという独創的な漫画の第3弾です。
残念ながらこの号をもって最終回のようです。

美味そうな食べ物と、え?それは知らなかった!という文学蘊蓄満載ですが、何と言っても最初の「新潮社クラブ」の話が秀逸です。
一般の人がどれくらい興味があるか分かりませんが、ぼくのように多少とも書くことに関わっている人間にとっては興味津々の話です。
ぼくは一度、新潮社から本を出すか出さないかギリギリのところまで折衝した経験があって(結局出せなかった)、新潮文庫のファンでもあり、作家が「缶詰」になる建物と聞くだけで、猛烈に細部を知りたくなります。
この本では、新潮社クラブの内部レポをやってくれており、夢中になって読んでしまいました。
開高健が半年こもって22枚しか書けなかったというのはすごいエピソードです。
開高さんは、書いた文章を校正せず、1発で決めるという話を聞いたことがあります。スラスラ書きまくるというイメージがあったのですが、そんな開高さんでも文章に詰まることがあったのですね。
しかし考えてみれば缶詰とは効率の悪い労働のしかたで、もっと気分を変えたりしながら書いた方が筆が進むような気がするのですが、どうなんでしょうか?

いずれにしても、3巻で作品は終了。次はどんな作品でしょうか??

発達障害と少年犯罪 (田淵 俊彦 NNNドキュメント取材班)2018年05月29日 22時42分22秒

発達障害と少年犯罪
この本は珍しく本屋さんで買いました。
店頭に置かれているこの本に急に興味が湧いたのです。
さっと読んでしまいましたが、主題と内容の間に大きなブレがあるように感じました。
ルポでも解説本でも実用本でも、読者を説得することが本の役目ですから、この本はそういう意味で読者に向かって書かれたのでしょうか?
あとがきを読んでいると、まるで自分自身の過去を取り戻すために書いたように受け取れてしまいます。
それから、著者は大変よく勉強しているのは分かるのですが、子どもに対して勝手にいろいろと診断を付けるのはちょっとやり過ぎだと思います。
本としての完成度・成熟度が甘い印象があり、映像作家が文章を書くということに対してイージーな気持ちを持っているのであれば残念です。