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極夜行(角幡 唯介)2018年03月03日 23時38分08秒

極夜行(角幡 唯介)
出す本がすべて賞を受ける冒険家・角幡さんのノンフィクションです。
冬の北極、つまり太陽の出ない極夜(きょくや)の探検記です。
「空白の五マイル」も面白く読みましたが、僕にはこちらの作品の方が臨場感・迫真性に富んでいたように思えます。
それにしても角幡さんの語る力には圧倒されます。よくこれだけ言葉が豊かに出てくるものだと驚きます。
作家という職業は、自分の内側にあるものすべてをさらけ出すことを求められたりします。
しっかり語っていますね。内側を。僕にはとてもここまで書けません。

なぜ人は冒険をするのか、それを語り出すと話が尽きないかもしれません。
僕は寒いところが嫌いなので、探検などは絶対にせず、全館空調の効いた自宅で本を読んでいることが何よりも好きです。
しかし寒いところには出かけなくても、何かに挑戦したいという気持ちはこの歳になってもあります。
開業医の生活に甘んじて、ビールを飲みながらテレビを観るなんてとてもできない。
だから、「運命の子」を書いたり、「呼吸器の子」を書いたりする訳です。
冒険とか探検という言葉とは離れていると思いますが、自分の中に、自分を突き動かす衝動みたいなものがあるのですね。
だから僕は北極には行きませんが、角幡さんのような冒険家の作家が存在する理由がわかる気がします。

いいお仕事をやり遂げられましたね。