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黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い(畠山 理仁)2017年12月17日 16時12分36秒

黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い
マスコミでは全然報じられない泡沫候補のドキュメントです。
筆者は、すべての候補者を平等に報じるべきだと考えており、泡沫候補という言葉は使わず、「無頼系独立候補」と言っています。
つまりそれくらい彼ら・彼女らに思い入れがあるのでしょう。

しかしながら、泡沫候補にはそう言われるだけの理由があります。マック赤坂のことを多くの人が「変わった人」だと思っているはずです。
ではこの長編ルポを読んで私たちの意識が変わるかというとまったくそんなことはありません。やはりどう見ても「変わった人」です。

ノンフィクションとはそもそもなんでしょうか? 事実を提示することによって読者の常識や固定観念を揺さぶり、知に接することで興奮を喚起する文学ではないでしょうか?
残念ながら本書にはそういう部分がまったくありません。
泡沫候補の実態を確かに私たちは知りませんが、読んでみた感想は「やはりな」というものです。
筆者には取材力も書く力もありますが、取材対象にあまりにも魅力がありません。
10年以上にわたって取材したのだから、書こうと思うのはわかりますし、僕だって書くと思います。しかしノンフィクションで作り話はできませんから、取材した結果をそのままに書くしかありません。

泡沫候補であっても、その主張をマスメディアがしっかり伝えろという議論にはムリがあります。先の東京都知事選では在日コリアンに対するヘイトスピーチを選挙演説でやった男がいます。
こんなもの、お茶の間には流せませんよ。

もっと言えば、供託金300万円を失う泡沫候補の心理が私たちには理解できない訳です。では、その部分を本書が描けたかというとそれは不十分だったと思います。

ぼくがなぜこの本を読んだかと言えば、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞したからです。ノンフィクション文学ってこういうものでしょうか?