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2011年の棚橋弘至と中邑真輔(柳澤 健)2017年12月02日 16時26分41秒

2011年の棚橋弘至と中邑真輔
これは傑作です。
ぼくは1990年代以降の新日を全然フォローしていないので、ここに書かれていることは知らないことばかりで驚きの連続でした。
(ただし棚橋が女に刺されたのは、電車内で東京スポーツを見かけたので知っていた)
総合格闘技の出現によってプロレスはインチキとばれてしまい、人気は完全に凋落しました。
UWFの元選手などはギリギリうまく逃げ切ったという感じでしょう。
しかし、残された新日本プロレスは悲惨だった。
閑古鳥が鳴く会場に何とかファンを再び呼ぼうと、棚橋選手は涙ぐましい努力を重ねます。
こういう地道な努力が、猪木にはできない。
たいていの人ができない。
それを棚橋さんは立派にやってのけるのです。
そしてそれが実って会場がフルハウスになる場面はちょっと感動的でした。

プロレスには引退という概念が曖昧で、これまできちんとした世代交代が行われてきませんでした。
棚橋さんは世代交代を成し遂げて、後輩に道を譲るところも立派でした。
なぜこういうことができたのでしょうか?
彼には優れた点が多々あったと思いますが、最も優れていたのは頭の良さと感性の鋭さだと思います。

しかし、柳澤健さんは今年『1984年のUWF』という傑作も書いています。すごいですね。恐るべしです。
プロレス界におけるプロジェクトXをぜひみなさんも読んでみてください。
オススメです。

無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代(木村 元彦)2017年12月03日 22時42分16秒

無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代
これは良い本でしたね。
かつて東京朝鮮高校は実力日本一と誰もが知っていながら、公式戦に出場することができなかった。その歴史を描いています。
しかし話はサッカーだけにとどまりません。
在日朝鮮・韓国人が被差別という環境の中でどう生きてきたのか、その歴史を見事に描写しています。

差別ってなんでしょうか?
差別とは、アフリカ系の人たちを「あんな黒いのが好きなのか」と政治家が発言したりすることだけではありません。
差別の究極は経済なんです。
この本の中でも在日の若者は将来に希望を持つことができず、「焼肉屋か金貸しかパチンコ屋になるしかない」という台詞がでてきます。
その絶望感を夢に変えるためには、高校生たちにサッカーを教える必要があったのでしょう。
金明植という人は、時代が必要とした素晴らしい指導者だったのですね。

大手出版社から出ている本ではありませんが、ノンフィクションを広く読んでいるとこういう一作に巡り会えたりします。これが読書の素晴らしさですね。
エピローグにこの本の執筆動機が書かれていますが、ある意味この部分が一番重要だと思いました。
私たちはもうすでに多様な社会に生きている。今さら、移民を排除して「単一国家」を作ろうと思ってもナンセンスです。
未来に向かって私たちがどう生きるか、この本はそれを示していると思います。
オススメです。

虹色のチョーク(小松 成美)2017年12月07日 22時31分50秒

虹色のチョーク
わずか200ページちょっとの本なのに、読み終えるのに1週間くらいかかってしまいました。

ノンフィクションをどう書くのか、いろいろな人がいろいろなことを語っています。
こういう言葉があります。
「説明するな。描写せよ」
また、こういう言葉もあります。
「読者を笑わせようと思ったら、自分(筆者)が笑ってはいけない」
さらにはこういう言葉もあります。
「ノンフィクションは主語と動詞で書く。形容詞は使わない。必ず形容詞は腐るから」

本書は知的障害者がチョークを作る会社のノンフィクションです。
くり返し、労働することの「感動」が語られます。しかし、この本に出てこないような重度の障害者は労働することができません。
労働できない障害者には価値はないのでしょうか?

私の友人でYさんという人がいます。Yさんは健常者として生きてきましたが、20歳を超えた頃、海へ遊びに行き、海へダイブして頸椎損傷となりました。生命も危ぶまれましたが、現在は指先だけが動き、電動車椅子に乗って移動しています。
もちろん働いていませんし、24時間全介助です。
40歳を超えましたので、人生の半分が健常者、半分が障害者ということになります。

そのYさんが言います。
「できるということは、たいしたことではない。むしろ、できないことが多い人ほど、周囲に強く働きかけることができます。命に価値をつけないことに価値を見出すような、そんな社会であって欲しい」

この本は4刷りにもなっているし、Amazonで多数のレビューも付いています。隠れたベストセラーなのでしょう。
ぼくの本とは大違いでうらやましい限りです。

新・世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ) 早坂 隆2017年12月09日 16時50分41秒

新・世界の日本人ジョーク集
累計100万部の人気シリーズです。
今回の最大の特徴は、安倍首相が多く登場していることでしょう。もちろんその理由は長期政権にあります。
1年ごとに首相が交代していれば、ジョークにもならないという訳です。

腹を抱えて笑うようなジョークはありませんが、思わずクスッと笑ってしまうジョーク満載でした。
しかしこの本が優れているのはジョークそのものの面白さではなく、ジョークを解説する早坂さんの豊富な知識・蘊蓄・裏話にあるのです。
よくこれだけ広く世界中の政治や経済や文化について知っていると感心してしまいます。

いつものぼくの自説ですが、本を書く上で一番難しいのは人を笑わせること。
(簡単なのは泣かせること)
ジョーク集と銘打っている訳ですので、この本は「笑わせるよ」と言っているようなものです。
つまりけっこう作るのが難しい本なんです。
準備にそうとうご苦労を重ねたのではないでしょうか?

さて、ぼくはいろいろな国の国民性をからかうジョークが好きです。ベストワンを選ぶのは難しいのですが、以下のジョークを引用しましょう。

【各国の人が全力で走っている。その理由は?】
アメリカ人・・・健康のため
イタリア人・・・女性にもてる体型になるため
ドイツ人・・・美味しいビールを飲むため
フランス人・・・「走るな」と言われたため
日本人・・・働く体力をつけるため
メキシコ人・・・追っ手から逃げるため
(149ページより)

今回はポーランド人が登場しなくて残念でした(←わかる人にはわかるジョーク)

いのちは輝く〜障害・病気と生きる子どもたち(6)2017年12月14日 11時58分02秒

障害・病気の受容とは本当に困難です。絶望の先に受容があるのかもしれません。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171120-OYTET50053/

よかったらお読み下さい。

リスクと生きる、死者と生きる(石戸 諭)2017年12月14日 22時37分44秒

リスクと生きる、死者と生きる
良質なノンフィクションだなというのが率直な感想です。
元毎日新聞の記者さんだけあって、文章がうまい。まとめる技術もさすがだと思いました。
ただ敢えて難点を指摘してみます。

ノンフィクションには総論と各論があるはずです。
総論とは、医学論文で言えばイントロダクションですね。なぜ、この実験を、何の目的でやったのか、です。
ノンフィクションにも総論が必要で、この、今という時代に、なぜ3・11後の福島を描くのかという理由が知りたい訳です。
「そんなもの、大事に決まっているじゃん」という説明も「あり」かもしれませんが、やはりノンフィクションがフィクションと決定的に異なるのは、この本を書くことで何が描きたいかという目的なんですね。

本書はその部分に関して印象に残るような書き方をしていません。一方で、各論に関しては宝のような言葉が次々と出てきます。
そうした言葉が筆者の文章技術とあいまって、高いレベルにまで昇華されています。
取材でこういう言葉に出会ったら、それはジャーナリストとして「書こう」と思うに違いありません。
そういう意味で、非常に充実した中味の詰まった一作になっています。

おそらく筆者はタイトルをどうするか相当迷ったのではないでしょうか?
僕はこの本を読む前に内容をまったく予測ができませんでした。そして読み終わった今も、本当にこれで良かったのかちょっと疑問に感じます。
では代案は? と言われると返事に窮するのですが、内容をうまく表現するタイトルがすぐに思い浮かばないこと自体が、総論の脆弱性を物語っているような気がします。

3・11の後、多くのノンフィクション作家が津波・原発事故に取り組みました。本という、ある意味小さな世界で未曾有の大惨事を表現するのは極めて困難です。
そういう状況下で、たとえば森健さんは子どもに作文を書かせる、そしてその後に家族を取材して言葉を集めるという方法を取りました。実に秀逸なアイデアだったと思います。
本書もそうした傑作と肩を並べる優れた1冊だと思います。

蛇足ですが、広島の原爆ドームと丹下健三さんの関係はまったく知りませんでした。

黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い(畠山 理仁)2017年12月17日 16時12分36秒

黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い
マスコミでは全然報じられない泡沫候補のドキュメントです。
筆者は、すべての候補者を平等に報じるべきだと考えており、泡沫候補という言葉は使わず、「無頼系独立候補」と言っています。
つまりそれくらい彼ら・彼女らに思い入れがあるのでしょう。

しかしながら、泡沫候補にはそう言われるだけの理由があります。マック赤坂のことを多くの人が「変わった人」だと思っているはずです。
ではこの長編ルポを読んで私たちの意識が変わるかというとまったくそんなことはありません。やはりどう見ても「変わった人」です。

ノンフィクションとはそもそもなんでしょうか? 事実を提示することによって読者の常識や固定観念を揺さぶり、知に接することで興奮を喚起する文学ではないでしょうか?
残念ながら本書にはそういう部分がまったくありません。
泡沫候補の実態を確かに私たちは知りませんが、読んでみた感想は「やはりな」というものです。
筆者には取材力も書く力もありますが、取材対象にあまりにも魅力がありません。
10年以上にわたって取材したのだから、書こうと思うのはわかりますし、僕だって書くと思います。しかしノンフィクションで作り話はできませんから、取材した結果をそのままに書くしかありません。

泡沫候補であっても、その主張をマスメディアがしっかり伝えろという議論にはムリがあります。先の東京都知事選では在日コリアンに対するヘイトスピーチを選挙演説でやった男がいます。
こんなもの、お茶の間には流せませんよ。

もっと言えば、供託金300万円を失う泡沫候補の心理が私たちには理解できない訳です。では、その部分を本書が描けたかというとそれは不十分だったと思います。

ぼくがなぜこの本を読んだかと言えば、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞したからです。ノンフィクション文学ってこういうものでしょうか?

ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)金成 隆一2017年12月19日 22時52分51秒

ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)金成 隆一
これは傑作ルポルタージュです。
「あの」トランプがなぜ大統領になることができたのか?
その理由を分析することは、すなわち現在のアメリカがどういう国になっているかを明らかにすることです。
筆者は150人もの一般市民にインタビューを重ねることによって今のアメリカをクリアに描き出しています。
こういう良書にはそう巡り会えるものではありません。

民主党の候補はヒラリー・クリントンでしたが、サンダースさんが旋風を巻き起こしたことを憶えている人も多いでしょう。
実はトランプの主張とサンダースさんの主張には重なる部分が多数あるのです。
本来、民主党支持者とはミドルクラスのブルーカラーの人たち。
共和党は富裕層や成功者たちによって支えられていました。
ところが今回の大統領選では「逆転」が起こりました。
民主党支持者たちが、トランプ支持に回ったのです。

それは五大湖近辺の中西部で顕著でした。
いわゆるラストベルト、錆びついた工業地帯ですね。
彼ら(彼女ら)は移民によって雇用を奪われたのです。つまりもうミドルクラスではなくなろうとしている。貧困層へ転落しかかっているのです。
こうした人々が、エスタブリッシュメントに対して猛烈な反感を覚える。その代表がヒラリーです。

アメリカン・ドリームという言葉は死語になっているという労働者達の嘆きと、彼らの生活苦の悲鳴がトランプ大統領を生んだのです。
わずか1%の富裕層がアメリカ全体の富の40%を独占しているこの状況を、どう解決すればいいのでしょうか?
日本はそこまでひどくありませんが、やがて同じ問題にぶつかる可能性は十分にあります。
なぜならば、日本は人口政策に失敗し、今後、人口が減少し、経済が縮小することが避けられないからです。
その時、日本は「鎖国政策」を転換して移民を受け入れるでしょう。そうすると、日本人はアメリカと同様に雇用を奪われる可能性があります。
今のアメリカの問題は、将来の日本の問題に重なるような気がします。
オススメの1冊です。ぜひどうぞ。

人民元の興亡 毛沢東・鄧小平・習近平が見た夢(吉岡 桂子)2017年12月23日 14時58分16秒

人民元の興亡 毛沢東・鄧小平・習近平が見た夢
人民元の歴史を主軸に据えた中国から見た世界経済の動きを描いています。
内容はヘビーで取材もたっぷりという感じですが、筆致は柔らかく、読ませるための工夫がなされています。
読み応え十分な1冊なのですが、いかんせん僕は経済オンチなので、専門用語(そんなに難しい用語ではない)がすんなりと脳に入ってこなくて、我ながら情けなくなりました。
こうした書に興味がある人には、絶品の作品だと思います。

18トリソミー写真集 クラウドファンディング2017年12月23日 20時05分21秒

18トリソミーという先天性染色体異常のお子さんがいます。長く生きることが難しいことから、以前の医療では治療の対象になっていませんでした。
しかし最近になり考え方が変わってきました。たとえ長期に生きなくても、あらん限りの命を精一杯支えようという医療者が増えてきました。
その一方で、いまだに偏見に固まった医者がいます。そうした考え方は変えていく必要があります。
このたび、18トリソミーのご家族が写真集を発行することになりました。クラウドファンディングで資金を募っています。ぼくはこの活動に協力します。みなさんもぜひ関心を持ってください。

https://readyfor.jp/projects/team18-18trisomy

よろしくお願いします!!