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おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒―江国滋闘病日記 (新潮文庫)江国 滋2017年08月06日 14時34分29秒

おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒
読み始めはダラダラとという感じでしたが、次第に止まらなくなり、最後は一気に引き込まれてしまいました。
食道癌と闘った記録です。
闘病は合併症と再発転移に苦しめられますが、江国さんはその時々の心境を俳句で見事に表現します。
精神的なタフなのか、それとも文学者として言葉が奔放に湧いてくるのか、いずれにせよ常人には真似できません。
本書中の俳句の白眉は何と言っても亡くなる二日前に書いた辞世の句です。

おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒

これはちょっと凄絶な感じがします。死を覚悟した人間が絶望を通り越してその向こう側に行ってしまったのでしょう。
こういう本が絶版になっているのは実に残念です。せめて電子書籍で復活できないのでしょうか?