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ヨミドクターの連載を終えて2017年06月28日 23時48分39秒

一昨日の記事をもって1年間に及んだ僕の連載は終了になりました。
これまで僕の記事を読んでくれた方には心から感謝したいと思います。
また、コメント欄を拝見すると、僕の記事をメチャクチャにけなしている人もいるので、そういう人には連載が終了して「良かったですね」と声をかけたいと思います。

さて、この連載の企画は、中央公論新社から持ち上がったものでした。
中央公論にはラクレという新書があって、そこで「小児医療の常識のウソ」あるいは、「ネット情報はどこまで信用できるか?」みたいな本を作ろうというアイデアがありました。
しかしながらこの出版不況の時代。僕のような無名な医者が本を書いても売れるかどうかわかりません。

そこで、読売新聞のヨミドクターに相談したのです。中公の親会社ですね。
当初の提案は3カ月の連載です。面白ければ延長。読者からの反響が無ければクビ。
ヨミドクターの編集長さんは、僕に書かせることに大変不安があったと思います。
なぜならば、僕は「純粋な」小児科医ではありません。ま、「小児外科医」だけど、もう手術はしていませんから外科医でもない。すると、ただの開業医ということになります。
それでも採用してくれたのは、拙著「運命の子」と「小児がん外科医」を読んで頂き、文章が書けるなと感想を抱いてくれたからだと僕は思っています。
こうして連載が始まりました。

ほかの執筆者と比べて、僕の原稿がたくさん読まれたのかどうか自分にはわかりません。
ですが、「箸にも棒にもかからない」というレベルではなかったようです。
それなりの読者からの支持があったみたいです。
その結果、連載は3カ月ごとに延長となり、ついに1年になった訳です。
1年書くとさすがにネタが尽きて、もう僕にはいいアイデアは残っていません。とにかく26回よく書けたと思います。

原稿を書くにあたって相当勉強をしました。
医学書や治療ガイドラインなども最新のものを買い直しました。
こうした書籍は大変高価なので、原稿料はすべて書籍代に消えました。
しかしそんなことは全然どうでもいいことです。やはり人間いくつになっても勉強しないといけません。
本連載を書くことで、自分の知識をもう一度整理し直すことができたのは本当に良かった。患者にもその利を還元できています。

連載の中で手応えがあったのは、インフルエンザの予防法とアトピーへのステロイド軟膏の使用方法。
逆に肩透かしだったのが、便色カードの胆道閉鎖の話。

連載の後半ではほどんどの記事が yahooニュースに転載されて、患者さんから「見ましたよ」とよく声をかけられました。

さて、連載は中央公論新社の上層部からも一定の評価を頂いたようです。その結果、ラクレから書籍化されることが決まりました。
原稿を整理してみると、400字換算で320枚あります。これはちょっと削る必要があるかもしれません。
もちろん、枕の部分でBabyMetalのライブを観に行った類の話はすべてカットします。
障害児に関する原稿を2回書いていますが、これもラクレには載せないつもりです。

どんな風にまとめていくかこれから中公の編集者と相談です。骨格が決まれば、中味は95%以上完成していますので、すぐに仕上がるでしょう。

面白くて役に立つ(あ、講談社みたいなキャッチフレーズ)本になるはずです。おまけにポケットに入る。
年内完成か年明けになるかまったく未定ですが、ぜひ、新書ラクレを可愛がってくださいね。