アクセスカウンター
アクセスカウンター

定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書) 楠木新2017年05月31日 22時05分28秒

定年後 - 50歳からの生き方、終わり方
大学に在籍中、ぼくの夢は定年を迎えることでした。
当時の大学病院は(今は違う)、理不尽な仕事や意味の無い雑用が多すぎて、毎日が本当に辛いと感じていました。
ぼく中間管理職だったので、上からは無理難題を押しつけられ、下からは不平不満をぶちまけられました。
ああ、早く辞めたい。早く定年を迎えたいと思っていました。

そして現在は開業医。なので、定年というものがありません。
仕事をしていて辛い思いをすることは、大学の頃とは比べられないほど少なくなっています。そういう意味ではすぐに辞めたいとは思わない。
ぼくが雇用しているスタッフの人生にも影響しますから、さっさと辞める訳にはいかない。

だけど人間ってどこまで働けばいいのでしょうか?
もちろん個人差はありますが、元気に旅行に出かけたりできる年齢は75歳くらいまでではないでしょうか?
すると65歳で仕事を辞めると、自由な人生を謳歌できるのはわずか10年しかないことになります。たったの10年か。

高齢になれば「がん」に罹る可能性も高まります。すぐに命は持って行かれなくても、何年も闘病が必要かもしれません。
そうなるとその10年はあまり楽しくないかもしれない。
人は、自分の死を明確に意識すると、自分の生の残り時間を逆算し、本当の人生の意味を見出したりすると言います。

ぼくの場合、それは何だろう? やはり死が迫ってこないと分からないのかな?
ただ一つ言えることは、自分の人生のテーマは「人間とは何か」という命題に答えを出したいという思いです。
もちろんまだ答えは出ていませんが、2008年から細々と本を執筆することで、解答を作り上げていっているつもりです。
死ぬまでその答えを追い求めることが、ぼくの人生の生きる意味かもしれません。