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ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書) 出井 康博2017年04月07日 22時45分23秒

ルポ ニッポン絶望工場
衝撃のルポルタージュです。
「留学生」とか「実習生」の名のもとに、主にベトナムから多くの若者が日本にやって来ます。
それを仲立ちするブローカーが存在するからです。
しかしその実態は、ベトナム人から見れば「出稼ぎ」であり、日本から見れば「労働力不足」です。
実際に日本にやってくると、そこでは約束とまったく違った過酷な労働が待っています。
まさに奴隷のようにこき使われる。日本全体が「ブラック企業」のようになっているのです。
絶望工場というタイトルは、読む前はちょっとオーバーかなと思いましたが、こうした実態を知るとまさにぴったりでしょう。

最も象徴的な重労働は、新聞配達です。
単純労働で、長時間労働。朝は早い。
現代の日本で新聞配達をやる人は極めて少なくなっています。
するとこの労働に駆り出されるのがベトナム人というわけです。
法律の規定を無視し、違法就労の形で長時間働かされる。
規定の時間を超えるため、残業代も出なかったりします。
当然のことながら、こうした搾取の実態を、新聞は絶対に報じないわけです。

なぜ、ベトナム人なのでしょうか?
それは日本という国が経済的に没落し、中国人から見ると、日本は「爆買い」する国であっても、賃金をもらって働く国ではないからです。
要するに中国人は国内で働いた方が儲かるのです。

ベトナムはアジアの経済成長からは取り残されています。従ってベトナム人が海をわたって日本にやって来るのです。
ま、騙されて連れて来られると言ってもいいかもしれません。

日本は移民を受け入れるべきかどうかという議論がありますが、これはある意味で勘違いの上から目線の議論です。
世界から見た日本は、移民したいと多くの人が思うような輝ける国ではありません。
超高齢化・超少子化対策として移民を受け入れるのであれば、上から目線でなく、礼を尽くして招くという姿勢を取る必要があります。
日本の労働現場は疲弊しています。
国は没落しようとしているのにも関わらず、単純労働や重労働を進んでやろうとする日本人はどんどん減っています。
我が祖国はこの先どこへ向かおうとしているのでしょうか?