アクセスカウンター
アクセスカウンター

いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件 (大崎 善生)2017年02月26日 22時55分07秒

いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件
大崎さんは本当に文章がうまいと思います。
美しい、流れるような文章。
ただしそのうまさはフィクションにおいてより発揮できるように思えます。
この作品でも、どういう取材をすればこういう文章が書けるの?と疑問に思う箇所がいくつもありました。
取材の結果、そういう風に思ったはずだと考えて書き込んだのでしょう。
そういう意味では純粋なルポとはかなり異なる作品で、ノンフィクションの形をとった物語なのかなと感じました。

日本人の大多数は死刑制度に賛成していますので、本書のクライマックスには大多数の読者が胸を打たれると思います。
しかしどうしてこういう鬼畜のような人間がこの世にいるのでしょうか?
本書は被害者の側から事件を描いています(それが悪いと言っている訳ではない)ので、その答えは書かれていません。

殺害の細かい描写が3回くらいくり返し書かれているので、非常に気分の悪くなる本でもあります。
ナイーブな人にはちょっとオススメできない作品です。
ちょっと評価の難しい本ですね。