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杉村太郎、愛とその死 (杉村 貴子)2017年02月15日 18時14分16秒

杉村太郎、愛とその死 (杉村 貴子)
Amazonで闘病記を検索しているうちにこの本に出会いました。
杉村太郎さんという方は存じ上げませんでしたので、検索していろいろと調べてみました。
マルチタレントで、ベストセラー作家でもあるようです。
社会を変えようとするスケールの大きさがこの人の魅力なんですね。

その彼は若くして原発不明癌で亡くなったと言います。
原発不明癌は稀少癌であり、検査の進め方も治療戦略も難しいとされています。
奥さんがその闘病記を書いたというので、興味を持って読みました。

結論を先に書くと、この本は闘病記ではないかもしれません。
前半は杉村さんの留学記です。で、ここの部分がとても面白い。
後半は病気になってからの杉村さんが描かれますが、彼は闘病の具体的な姿を奥さんに伝えていなくて、描写は抽象的なものに変化します。

闘病記の面白さとはなんでしょうか?
それは人間が「死」に向き合って、置き換えることのできない自己を意識すること、そして「死」とは何かを考え詰めることにあると言えます。
本書はそういう本ではなくて、杉村さんがいかに「生きた」かを描いており、また奥さんがご主人をどれだけ愛して、そして尊敬していたかを綴ったものだと思います。

杉村太郎さんの著書に感銘を受けた人にとっては、必読の1冊です。