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映画「君の名は。」を観る2016年10月05日 12時50分21秒

映画「君の名は。」を観る
現在、大ヒット中の映画です。
この映画の最大の魅力は脚本にあります。
話の転がし方、発想の奇抜さ、まさかこんなふうに展開するとは誰も思わないでしょう。
クリント・イーストウッドの映画が後半で話がガラリと変わることがあります(ミリオンダラー・ベイビーなど)が、そういった観客を惹き付ける面白さがあります。
では前半が平凡かと言うとそうでもなく、注意して観ていないと話を追えないので、一生懸命観ることになります。
スマホという道具やLineでの会話などが効果的に使われており、情報量がとても多いので、このことも映画に集中する理由になります。
この映画にはリピーターが多いと聞きますが、それはそうでしょう。
見逃すとわからない部分がいかにも多そうな出来になっています。

ぼくはアニメ映画をほとんど観ないので、この映画の絵のレベルはよくわかりません。しかし、非常に繊細で美しいと感じました。
専門的な知識がある人ならばもっと細かく感想を述べてくれるでしょう。

音楽も大変印象的に使われていました。これは曲を映画に採用したということではなく、映画に合わせて曲を作ったのでしょう。大変レベルが高かったです。

宣伝部はこの映画の予告編を作る時に大変苦労したのではないでしょうか?
短い時間でこの映画の魅力やストーリーを説明することはちょっと無理だと思います。

今年の夏は「シン・ゴジラ」が話題でしたが、それを遙かに凌駕する超・話題作になっていますね。
基本的には口コミでここまで広まったのだと思います。
良い作品(映画でも本でも音楽でも)は、必ずヒットするのだということを再確認しました。

ちなみに最後まで落涙せずにこの映画を観るのは至難の業だと思います。
一級品の映画です。

ヨミドクター、連載8回目2016年10月11日 17時21分46秒

難病・胆道閉鎖について書きました。

母子手帳に付いている便色カードはとても重要です。ぜひ、活用してください。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160928-OYTET50019/

大事なことを書きましたので、お読み下さい。

ルポ 貧困女子 (岩波新書) 飯島 裕子2016年10月13日 10時35分22秒

ルポ 貧困女子 (岩波新書)
最近話題の「貧困女子」がテーマです。
貧困問題はなかなか目に見えないのですが、こうした丁寧なルポによって現代という時代性がとてもよく見えてきます。

日本は、超・少子高齢化だし、非正規職員が増加しているし、若者の貧困が増えているし、生涯未婚率が上昇しているし、人口は減っているし、自分の子どもがどういう人生を歩むのかと思うとけっこう不安になります。

安倍総理大臣は、アベノミクスで経済がとても良くなったと(また、道半ばとも)言いますが、いったい誰が潤っているのでしょうか?
ぼくは開業医になって10年ですが、収入はぜんぜん増えていません。むしろ減少傾向です。
ま、ぼくは良いとしても、株価が上昇して喜んでいるのは大金持ちだけなんじゃないの? と思わず揶揄したくなります。

政府自民党は、女性の活躍を盛んに言います。それは良いことなんですが、同時に古くからの「家」制度を頑なに守ろうとします。
二つを両立することは無理なんじゃないですか?
女性の活躍と言いながら、女性は消費されているように僕は感じてしまうし、政府自民党の論理で働けば働くほど、従来の「家」の構造は崩れていくし、それは必然の流れだと思います。

僕はそうした「家」はなくてもいいという考えなので、非婚・シングルで子どもを作っても、さまざまな制度面での補助・手当があってしかるべきだと思います。

昔ながらの「家」を維持して、もっともっと働けというのは、やはり無茶ですよね。
制度の歪みは必ず最も弱い人間に表れます。
そうなると、それはやはり女子・子ども・老人ですね。
将来の展望が暗い日本の諸問題はすべて同じ根に問題があるようにぼくには思えます。

憲法を改正(悪)して、自衛軍を明記するのもけっこうですが、もっと大事なことがあるのではないでしょうか?
この国がどういう方向に向かうのか、向かうべきなのか、リーダーにはビジョンを示して欲しいと思います。
今やっていることが未来へのビジョンというならば、失敗がすでに始まっていると思います。

アトピービジネス (文春新書) 竹原 和彦2016年10月16日 18時26分04秒

アトピービジネス (文春新書) 竹原 和彦
かなり前に読んだ本ですが、勉強をし直すために再読しました。

小児がんと闘っているご家族も、かなりの割合で民間療法を併用しています。
命のかかった病気ですからやむを得ない面もあるでしょう。
ぼくは「黙認」というか、ぼくの治療を邪魔しなければ民間療法の併用は許していました。

しかし、アトピービジネスはただの「民間療法」とは異なります。本来おこなうべき「標準治療」をすべてやめてしまうからです。
アトピー性皮膚炎とは慢性疾患ですから、コントロールすることはできても完治は難しい。
そこへもってきて、ステロイドの副作用が盛んに喧伝されるため、人はアトピービジネスに走るわけです。

アトピービジネスが盛んになった理由の1つに、医者(特に皮膚科医)の説明不足があったことも否定できないでしょう。
しかし何と言っても責任が重いのは、大手メディアです。
1990年代のステロイドバッシングは実に激しかった。
新聞・テレビが報じたことを真に受けてアトピー性皮膚炎が悪化した人は、数えきれいないほどたくさんいるでしょう。
今から20年以上も前のことですから、今になってそのことを批判しても仕方ないかもしれません。
ですが、なぜ間違った記事を湯水のごとく報じたのか、報道機関は自らを検証してもいいかもしれませんね。

アトピー性皮膚炎のもっとも大事な治療は、ステロイド軟膏を適性に、不足なく、しっかりと塗ることです。
正しいステロイドの塗り方を知りたい保護者も多いと思いますので、企画が通ったらヨミドクターにコラムを書きたいです。

障害者殺しの現在(八木下浩一)2016年10月23日 21時44分27秒

障害者殺しの現在(八木下浩一)
入手するのに若干苦労しました。
八木下浩一さんの「障害者殺しの現在」です。

1981年に書かれた本ですので、親が障害児を殺す事件がやや落ち着きを見せた時代ではないでしょうか?
この本の中には、障害児殺しの新聞記事の切り抜きがたくさん掲載されています。
しかしもちろんこれがすべてではありません。

前にここで書きましたが、ぼくが1970年代の朝日新聞を調べた時に、子殺し・一家心中の数の多さに驚いたことがあります。
70年代はなぜ、障害児は許容されなかったのでしょうか?
理由はわかりません。
核家族化と関係があるのかもしれませんね。
大家族だったら、祖父や祖母が面倒を見たかもしれない。
それが都市化して、孤立化して、障害児を抱えると逃げ場がなかったのかもしれません。

八木下さんは、大規模障害者施設(コロニー)に障害児を入れることも、分離教育をおこなうことも、障害児殺しの変形と見ているようです。
その指摘は今日的な視点で見ると、正鵠を射ているようです。

相模原障害者殺傷事件は、障害者にとって良い方向に変換する動機になればいいのですが、そういう気配はありません。
これをきっかけに地域の中にグループホーム、またはそれに類するものが生まれれば救いがあると思うのですが。

分離教育に関しては、今の学校はけっこう柔軟です。
特別支援学校がなくなることはあり得ませんが、支援学級はけっこう簡単に作れるみたいだし、健常児と障害児の交流もよくおこなわれています。

ただし、、、知るだけではダメなんです。
以前のぼくの考え方は、無知が偏見を招き、偏見が人を殺すと思っていました。
つまり無知は罪であると。
しかしぼくは、中途半端に知ること、ただ単に接近するだけでは差別を乗り越えることはできないと思うようになりました。
だからこそ理解が必要。そこではじめて優生思想から離れることができるのではないでしょうか。

ヨミドクター、連載9回目2016年10月24日 15時29分55秒

今回は「包茎」の話です。
ぜひ、お読みになってください。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161003-OYTET50053/

剥いて洗う必要はありません!

「子どもの危険な病気のサインがわかる本」(講談社)2016年10月25日 20時07分42秒

皆様に大変ご心配をおかけしました。
遅れに遅れましたが、 
「子どもの危険な病気のサインがわかる本」が講談社さんから出版される運びとなりました。

アンケートに答えて頂いた方、出版を待ち望んでいた方、本当に申し訳ありませんでした。
しかし、いい本が出来上がった(最終校正段階です)と思っています。
価格も決して高くありませんので、ぜひ、お買い求めください。
よろしくお願いします。

https://www.amazon.co.jp/dp/4062598574

Amazonで予約可能です。

はい。赤ちゃん相談室、田尻です。(田尻由貴子)2016年10月26日 23時00分30秒

はい。赤ちゃん相談室、田尻です。(田尻由貴子)
熊本県慈恵病院・赤ちゃんポストに深く関わった看護師の田尻さんの記録です。
赤ちゃんポストが創設された時、「捨て子を誘発する」という意見が多々ありました。今もあると思います。
しかしそれはあまりにも表層的でレベルの低い意見だと思います。
日本の古来の文化は「間引き」ですが、ヨーロッパ(キリスト教圏)には「遺棄と保護」の文化があります。
慈恵病院は人工妊娠中絶手術はしません。
生命を神聖にして侵すことが出来ないものととらえているのですね。
赤ちゃんポストはその文脈上にあります。

絵本作家になりたくて (ぐーたらブー子の奮闘記) 有田奈央, 麻生夕貴2016年10月31日 21時48分10秒

絵本作家になりたくて (ぐーたらブー子の奮闘記)
出版社に原稿を持ち込むという話はよく聞きますが、それって作り話だと思っていました。
しかしこの本を読むと、絵本の下絵を持ち込むって本当なんですね。
いや、驚きました。
どんな世界でも同じだと思いますが、自分の好きなことをやって収入を得るというのは実に大変です。
絵本作家になりたければ、こうやって根性を出して売り込む必要があるのですね。
感心しました。

ま、そう言えば、ぼくのデビュー作だって「持ち込み」みたいなものです。
友人が講談社さんとの橋渡しをしてくれたのですが、講談社が書いて欲しいと言ってきたのは「小児科実用本」です。
ぼくはその企画を断って、大学病院時代の闘病記を書かせて欲しいと言った訳です。
あんな無鉄砲がよく通用したものです。
講談社さんは、どこの馬の骨ともわからない開業医によく本を書かせたものだと驚きます。

ですがやはりチャンスは自分で掴むものです。本当にそう思います。
夢みたいなことを頭の中で思い描いていても、それだけでは絶対に実現しません。
握ったら放してはいけない。
人生でそういう機会はそう何度もないでしょう。
世界を変えるには、自分にはそれができると信じる必要があります。

ぼくも還暦までまだまだ時間がありますので、チャンスがあったら握って放さないようにするつもりです。