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相模原事件について、さらにさらに追加2016年09月18日 19時43分53秒

相模原事件について、さらにさらに追加
相模原事件については、「創」「世界」が特集を組み、今月には「現代思想」も特集を組むようです。
戦後最悪の犯罪と言ってもいい事件ですから、多くの分析がなされ、いろいろな意見の表明があった方がいいと思います。

事件としては今後、容疑者の精神鑑定に注目が集まりますが、「精神科医」という専門家なればこそ「正解」を言えるかというと、それは違うと思います。
「精神科医」も人間ですから、世間の常識に判断が左右されます。
斎藤環先生が、この容疑者は「クレージーだが、マッドではない」と言っていました。
つまり、クレージーな考え方をするけど、判断能力がいかれている(マッドな)わけではないということです。
そういうところに鑑定は落ち着くはずです。

この容疑者の罪深さは一体何でしょう?
19人の命を奪ったという生物学的な殺人に加え、障害者当事者やその家族たちの魂を殺した「尊厳の殺人」だったからではないでしょうか?

DPI 日本会議の尾上さんは「このままだと自分たち自身がへなへなと崩れてしまうような感覚がある」と述べています。
全国手をつなぐ育成会連合会の久保さんは「発足から64年間(中略)積み上げてきたものを一気に崩されたような感じを持ちました」と語っています。

1970年代に日本で相次いだ、親による障害児殺しに対して、青い芝は「母よ、殺すな!」と言いました。
青い芝・神奈川の4つのテーゼのうちの一つは「愛と正義を否定する」でした。
親による障害児殺しはまさに「愛」という名のもとに行われたわけです。

今回の事件で時計が40年以上も前に戻ってしまったように見えます。
しかし、殺人の動機は「愛」ではなかったと思います。
それは「正義」です。
犯人は「いいこと」をしたと思っている。障害者=不幸=いないほうがいい=自分は救世主、という恐るべき思想に取り付かれています(報道された、犯人の供述から)。

報道陣に囲まれたパトカーの中で、犯人は笑顔だった。自分では「正義の殺人」と思っている節がある。ここが本当に怖い。

今回の事件をナチスドイツのT4作戦と同じ文脈の考える意見もあります。そうかもしれません。
だが違う部分もあるような気がします。
T4作戦を実施した現場の職員は、正義と思っていたのかはよくわかりません。
日本と同じように「一億総玉砕! 鬼畜米英!」と洗脳されたいただけかもしれません。あるいは命令によってイヤイヤやっていたのかもしれない。9月24日にETV特集「それはホロコーストのリハーサルだった」の再放送がありますので、ご覧になってください。

40年以上も前に青い芝が否定した「正義」が、最悪の形で具現化した悲劇を私たちは乗り越えていかないといけません。
精神科医の松本俊彦先生は「希望というのは確かになかなか難しいですが、(中略)共生を唱えるしかない」と言っています。
尾上さんも、この事件を契機に共生から隔離の方向へ進めば、「容疑者が狙った方向に私たちの社会が一歩進むことになりかねない」と述べています。
本当にそう思います。政府与党には決して道を誤って欲しくないと思います。
今やるべき事は、法律を改変するとか強化するとかではないでしょう。
壊されたものを再構築していくことだと思います。

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