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人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書) 吉川 洋2016年09月02日 19時56分39秒

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長
日本は少子超高齢化の時代に突入し、これからどんどん人口が減っていきます。
人口が減れば労働力が落ちるので、経済成長もマイナスになるというのが、普通の考え方でしょう。
ところが筆者はそうではないと言います。
なぜならば、日本のこれまでの歴史を見ると、人口の増加とGDPの増加は全然パラレルではないからだそうです。

確かに高度成長時代にGDPは爆発的に伸びています。しかし人口はそれほどではありません。
なぜでしょうか?
それは産業の形態が変化したからです。
それまでは日本人の半数くらいが農民だった。ところが戦後の復興を経て高度成長時代に入ると人々は一次産業から三次産業にシフトしていきました。
技術革新、イノベーションが起こったのです。

たしかにこれからは、経済がものすごい勢いで伸びていくことはないでしょう。
しかし、緩やかに成長していく可能性はあります。
それにはやはりイノベーションが必要だし、何よりも「需要」が鍵になります。

日本は超高齢化の時代に入るのですから、この高齢者の需要を読み取って新しいイノベーションを創造していく必要があります。
またそうしないと経済成長はありません。
それはAIかもしれないし、AIを持ったロボットかもしれません。日本はおそらく移民を受け入れないので、ロボット開発が真剣に行われる可能性があります。

また日本はいくら長寿と言っても、人間の寿命がこれ以上長くなることはないでしょう。生物学的にそう言えます。
そうするとこれからの時代は、「健康で長生きする」新しい医療の開発が必要になるでしょう。

医療費が増大するからと老人を切り捨てるような政府高官の発言は、日本の未来にビジョンを描いていないことを白状しているようなものです。

高齢者と同じ意味で、障害者の需要をすくい上げていくことも重要です。
障害者がいるから、社会が変わる。バリアが少なくなり、交通が容易になる。介助する人が必要になり、人を呼び込む。
コミニュケーションの手段に新しいテクノロジーが必要になる。
つまり世界が循環していく。
高齢者・障害者・子どもを大事にしていけばいくほど、私たちの社会のインフラが強化され、人々が健康になり、経済が強くなる訳です。

つまり、経済成長の鍵は人口ではなく、イノベーション。
アップル社の業績は、インターネットを普及させたこと( アップル製品の頭に付いている i はインターネットの略です)と、iPhone を発明したことでしょう。
ネットとスマホがなかったら、Amazonもグーグルも成立しなかったと思います。
こういうイノベーションを日本発で立ち上げることはできないでしょうか?

人口が減っても悲観する必要は無いのかもしれません。
そのためには、新時代を切り開く誰も思いつかなかったアイデアの創出が必要です。

「南京事件」を調査せよ (清水 潔)2016年09月03日 17時40分52秒

「南京事件」を調査せよ
画期的な本です。
いえ、内容に関してはこれまでに出版された本と大差はありません。
何が画期的かと言えば、文藝春秋社から出版されたことです。
文春はこれまでに、南京事件がまぼろしであることを、雑誌や書籍を通して主張してきました。
その文春が、南京事件を「あった」という立場で本を出したのですから、こんな驚きはありません。
Amazonを見ると、クソミソのレビューがたくさん付いています。
怖いですね。

BABYMETAL試論 (小中 千昭)2016年09月07日 22時28分22秒

BABYMETAL試論
著者はぼくと同い年。
おじさんになってもBabyMetal に夢中になれるなんて素晴らしいことだ。
本書は軽い内容ではなく、専門的な音楽分析なども多く、ぼくみたいな知識不足の人間には理解できない所もありました。
しかしそんなことはどうでもよく、ここまで一生懸命に語るところが実にいい。

We are BabyMetal !!

急に秋2016年09月12日 18時52分31秒

診療を終えて窓外に目をやったらすっかり暗くなっています。
秋の虫の鳴き声も聞こえてきて、季節が変わるのが感じられます。
10月からはインフルエンザ・ワクチンの予防接種が始まります。
すでに枠は埋まり始めていますので、接種を考えている人は早めに予約してください。
↓ からどうぞ。
http://www.shujii.com/0432905877/i/

読ませる自分史の書き方 (幻冬舎新書) 工藤 美代子2016年09月14日 22時53分10秒

読ませる自分史の書き方
面白くてあっと言う間に読んでしまいました。
ぼくは以前、工藤美代子さんにインタビューしたことがありますが、本番のインタビューも、インタビュー後の雑談もとても面白かった。
とてもたくさんの「ひきだし」のある作家さんで、いろいろなエピソードやユニークな批評が次から次に出てくるのですね。
その語る力が文章によく反映されていて、「工藤写真館の昭和」や「今朝の骨肉、夕べのみそ汁」などは本当に引き込まれる面白さです。

「自分史」を書きましょう、という本なんですが、これだけのテーマで1冊の本を仕上げるまでに「語る」ことができるのは実にすごいことです。
ぼくだったら、数ページしか書けない。
ストーリーテラーだなと感嘆します。

ぼくも「自分史」を書いてみたい気持ちがありますが、実行に移すかどうかはまったく分かりません。
大学病院で20年近く、人間の生き死にを見てきましたから、中には絶対に言えない話もあります。
面白い話もあるし、腹の立つ話もある。
コイツだけは許せないという奴もいるし(笑)。

すべてをさらけ出しても仕方ないという思いもあるし、自分の子どもにすべてを伝えたいという気持ちもある。
ま、もうちょっと考えましょう。

「本は出した方が勝ち」。
工藤さんはそう仰います。作家さんのプロ根性ですね。
すばらしい。
ぼくも2017年までに3冊の本を出すこと目指しています。
目標は大きく! ですね。

相模原事件について、さらにさらに追加2016年09月18日 19時43分53秒

相模原事件について、さらにさらに追加
相模原事件については、「創」「世界」が特集を組み、今月には「現代思想」も特集を組むようです。
戦後最悪の犯罪と言ってもいい事件ですから、多くの分析がなされ、いろいろな意見の表明があった方がいいと思います。

事件としては今後、容疑者の精神鑑定に注目が集まりますが、「精神科医」という専門家なればこそ「正解」を言えるかというと、それは違うと思います。
「精神科医」も人間ですから、世間の常識に判断が左右されます。
斎藤環先生が、この容疑者は「クレージーだが、マッドではない」と言っていました。
つまり、クレージーな考え方をするけど、判断能力がいかれている(マッドな)わけではないということです。
そういうところに鑑定は落ち着くはずです。

この容疑者の罪深さは一体何でしょう?
19人の命を奪ったという生物学的な殺人に加え、障害者当事者やその家族たちの魂を殺した「尊厳の殺人」だったからではないでしょうか?

DPI 日本会議の尾上さんは「このままだと自分たち自身がへなへなと崩れてしまうような感覚がある」と述べています。
全国手をつなぐ育成会連合会の久保さんは「発足から64年間(中略)積み上げてきたものを一気に崩されたような感じを持ちました」と語っています。

1970年代に日本で相次いだ、親による障害児殺しに対して、青い芝は「母よ、殺すな!」と言いました。
青い芝・神奈川の4つのテーゼのうちの一つは「愛と正義を否定する」でした。
親による障害児殺しはまさに「愛」という名のもとに行われたわけです。

今回の事件で時計が40年以上も前に戻ってしまったように見えます。
しかし、殺人の動機は「愛」ではなかったと思います。
それは「正義」です。
犯人は「いいこと」をしたと思っている。障害者=不幸=いないほうがいい=自分は救世主、という恐るべき思想に取り付かれています(報道された、犯人の供述から)。

報道陣に囲まれたパトカーの中で、犯人は笑顔だった。自分では「正義の殺人」と思っている節がある。ここが本当に怖い。

今回の事件をナチスドイツのT4作戦と同じ文脈の考える意見もあります。そうかもしれません。
だが違う部分もあるような気がします。
T4作戦を実施した現場の職員は、正義と思っていたのかはよくわかりません。
日本と同じように「一億総玉砕! 鬼畜米英!」と洗脳されたいただけかもしれません。あるいは命令によってイヤイヤやっていたのかもしれない。9月24日にETV特集「それはホロコーストのリハーサルだった」の再放送がありますので、ご覧になってください。

40年以上も前に青い芝が否定した「正義」が、最悪の形で具現化した悲劇を私たちは乗り越えていかないといけません。
精神科医の松本俊彦先生は「希望というのは確かになかなか難しいですが、(中略)共生を唱えるしかない」と言っています。
尾上さんも、この事件を契機に共生から隔離の方向へ進めば、「容疑者が狙った方向に私たちの社会が一歩進むことになりかねない」と述べています。
本当にそう思います。政府与党には決して道を誤って欲しくないと思います。
今やるべき事は、法律を改変するとか強化するとかではないでしょう。
壊されたものを再構築していくことだと思います。

罪なき者がまず石を投げよ2016年09月18日 22時02分47秒

罪なき者がまず石を投げよ
ここのところの蓮舫さんの「二重国籍問題」報道には本当にイヤな気持ちになります。
17歳の子どもが、日本国籍を取得する事務手続きをとり、父親から「今日からお前は日本人だ」と言われて、それを信じるのはまったく当たり前の話です。
当然、台湾国籍から離れると思うのは自然なことです。

ところが台湾という「地域」に「国籍」が残っていた。
そんなことは、どうやって知ることができるでしょうか?
疑問に思わないことの方が自然です。

今回の報道には、相当な悪意があると断じざるを得ません。
もし、これが台湾籍(中国籍)でなく、アメリカ籍だったらメディアはこれほどスキャンダラスな報道をしたでしょうか?
この報道の背後には中国への根深い差別感情が潜んでいるのではないでしょうか?
あるいは、野党第一党の党首のイメージを落としてやろうとしたメディアはなかったでしょうか?

日本の法律では「二重国籍」は禁じられています。
しかし、罰則はない。
さらに、「しかし」を重ねると、罰則はなくても適法手続きを取るべきだったという非難があります。
ですがこれは、甘利元大臣の、「犯罪ではないが道義的責任がある」という事案と性質を異にします。
蓮舫さんは、「台湾籍」を残したことで、何一つ得をしていません。それどころか、これだけバッシングを喰らって損をしています。
日本国籍を取得した時に、台湾がちゃんと戸籍を抜いてくれればそれで済んだ話です。
蓮舫さんは、台湾に利益供与を図った事実はありません。

それでありながらメディアの批判はすごいものがありました。
魔女狩りですか?
そこまで適法適性に拘るならば、罪なき者がまず石を投げるべきです。
時の最高権力者と飯友(めしとも)であるジャーナリズムのトップが社説で蓮舫さんを批判するなどまるでマンガです。
ズブズブの馴れ合いをして、権力は批判せず、野党を批判し、新聞には軽減税率を適用させるなど、こんな様は恥ずかしくて自分の子どもには説明できません。

罪に汚れた人間が人を非難する姿は醜い。
日本人として恥ずかしいと思います。

BABYMETAL 観戦記2016年09月19日 21時59分57秒

BABYMETAL 観戦記
あいにくの雨模様でしたが、東京ドームなので雨など関係ないと高をくくっていました。
総武線快速で錦糸町へ。ここで各駅停車に乗り換えです。
ふと気付くとホームには BABYMETAL のTシャツやキツネのお面をつけた集団があちこちに。
錦糸町から水道橋に近づくと、同じような出で立ちの人がどんどん増えてきます。
そして水道橋で下車。なんだ、この人の多さは!
ドームまでは延々と人の列。みんな傘を差しているので、ぶつかったり、突かれたり、しずくを浴びたり。
ドームの着くと人が多すぎて、自分が入るゲートに近づくことすらできません。
人波に押されていつの間に行列の一員になってしまいましたが、どうも別のゲートらしい。そこを脱出してようやく自分のゲートに並ぶことができました。

手荷物検査を受けて、チケット受け取り、ビニール製の「首コルセット」を渡されました。
メタルロックは「ヘドバン」をするので、首を守ってねという BABYMETAL のお約束アイテムです。
あとでわかるのですが、ライブの終盤で照明が消されると(あるいは、何か光を当てたのか?)、観客全員の首が光るんです。

ぼくの席はドームの2階。会場に足を踏み入れ、「はっ」と息を飲みました。
ドームの観客席にはすべて人。空席のエリアはなし。
そしてグラウンド中央にステージ。
その周囲に観客。これって一体、何人人が入っているの?
観客席だけで5万人でしょ? グラウンドを含めると6万人に近いのではないでしょうか?

中央の円形ステージから3本の脚が伸びていて、BABYMETAL の3人が観客の近くまで来ることができる演出のようです。
そして中央ステージの上にはやぐらのように円柱形の巨大なスクリーンが。
これは360°、どこからでも観ることのできるモニターでしょう。

ライブの開始は18時ですが、この調子だと時間までに観客が全員入りきるのは不可能。
やはり18時を過ぎても始まりません。

そして18時20分くらいにスクリーンにアニメが映し出され、BABYMETAL の持ち歌は、今日と明日の二日間に分けて上演され、重複はないとアナウンスされました。
「うーん、ぼくの好きな歌が明日に回されちゃうと残念だな」と思っていると、いきなりRoad of Resistance のイントロが流れ始めました。
キター! ぼくの一番好きな曲!
観衆総立ち!

360°スクリーンには BABYMETAL の3人が映っているのに、いくら目を凝らしても円形ステージには実際の3人がいません。
どういうこと? 
少しの間、曲に乗れないでいると、何と3人は360°スクリーンのやぐらの上で歌っていました。

セットリストは覚えていませんが、「アモーレ」「ギミチョコ」「Catch me if you can」「Karate」「4の歌」など、好きな曲が目白押しでした。
しかし、残念ながら聴けなかったのが「META!メタ太郎」「IDZ」でした。
最後は「THE ONE」で幕を閉じ、MCなし、アンコールなしのライブは100分くらいで終了しました。

ファン層は幅広く、僕のような老人も多数。幼稚園児くらいの子どもを連れた若いパパ、ママも多数。若者グループも多数。


光、演奏、歌、ダンス、すべてが一体となったプログラムは本当にクオリティーが高かった。
ファンであればよく知っていることですが、バックバンド(神バンドと言います)のレベルの高さはすごいものがあります。

SU-METAL は本当に歌がうまい。生で聴くと、CDなどで聴くよりちょっと高い声だなと感じました。
MOA-METAL とYUI-METAL のダンスは実にシャープ。
今更ながら気付いたのですが、この2人は笑顔なんですが、SU-METAL はニコリともしないんですね。
ま、自分のことをアイドルと思っていないのかもしれません。

映像と音楽が濃縮された100分でした。
え? もう終わりなの? という感じ。
できれば1000人くらいの小さなハコでライブを聴きたいな。
無理か。
次回のライブは1年後でしょうか? また観に行きたいですね。
(写真はネット上で拾ったものです。ぼくが撮影したものではありません)

作家の収支 (幻冬舎新書) 森 博嗣2016年09月24日 23時29分54秒

作家の収支 (幻冬舎新書) 森 博嗣
文字通り、作家としての森さんの収支について具体的に書いています。
ぼくは森さんの小説を読んだ経験がないので、作品の善し悪しはわかりません。
しかしながら、ミリオンセラーはないものの、ヒット作連発という感じですね。

総計1400万部を売り上げ、総収入は15億円。
半分は税金で持って行かれますが、7.5億円は手元に残る計算です。
7.5億円もあったら、とても使い切れないですよね。

才能があって羨ましいです。

ヨミドクター、連載7回目2016年09月26日 12時37分56秒

障害胎児の命の重さについて書きました。
ぜひ、ご覧になってください。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160909-OYTET50019/