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相模原事件について、付け加えること2016年08月05日 22時34分15秒

19人の重複障害者が殺された相模原事件について、ブログとヨミドクターで自分の意見を述べました。
友人知人の作家・ジャーナリスト・医師・編集者などから多数の意見を頂きましたが、ぼくが考えていたことが案外みんなに受け入れられたので正直驚きました。

ぼくの結論は変わっていません。
「この事件は、広く薄く社会に潜んでいる差別の心理が、この犯人の歪んだ心を通じて増幅し形となって表れてしまったものだと私には思えます」
これがぼくの意見です。

重度障害者の命が、私たちの命とその重みにおいて何ら変わらないということを、みなさんはこの事件をきっかけに考えてみたでしょうか?
ぜひ家族で話し合ってみてください。

人とは何か、定義できますか?
ある人はできると言います。ぼくは、できないし、する必要もないと考えています。
あなたの目の前にスプーンがあるとします。
このスプーンは何のために存在するのでしょうか?
それは、「食べ物を食べる道具」として人が作ったからです。
つまり存在に理由がある。

動物はなぜ子孫を残すのでしょうか?
それは本能です。本能が種を保存し、保存された種が自然淘汰されたわけです。つまり生きるために、子どもを生み、エサをとるのですね。

ところがフロイトの学説を持ち出すまでもなく、人間の本能は壊れています。
だから人間には生まれてきた蓋然性がない。少なくとも本能の結果ではない。
動物とは違う理由で人は生まれる。
まず存在してしまう。スプーンのような本質が無いのです。

そして人はなぜ生きるかというと、生きる意味を作っていくために生きると言えます。
従って、人とは何かと定義できない。真っ白な布のような存在が人間です。
言葉を話すとか・・・、二足歩行するとか・・・・道具を使うとか・・・、そういうことは関係ありません。
人から生まれた生き物が人であり、まずそこに存在するという事実が人を人たらしめているのです。
障害があっても、健常でも、命は唯一無二とぼくが言ったのはそういう意味です。

それにしても、ぼくが疑問に思うのは総理大臣の態度です。
日本が近代国家になってから最悪の殺人事件が発生したのに、首相は国民に向かって何かメッセージを出さないのでしょうか?
消費増税の延期を、記者会見を開いて説明したのですから、このヘイトクライムについてもしっかりとした意見を述べるべきではないでしょうか?