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小学2年生置き去りと「しつけ」2016年06月08日 17時07分52秒

北海道で小学2年生の子どもが置き去りにされて、その後7日目に奇跡的に救出されたことが大きく報道されています。
この事件を巡って「しつけ」論争も起きているそうですが、僕のニュースソースは新聞だけなので、世間でどんなことが言われているのか全然知りません。
そこでちょっと私見を書いてみたいと思います。

まず、これは「しつけ」ではなく「虐待」です。ネグレクトの1つの形態ですね。
海外でも大きく報道されているようですが、その理由は、日本では子どもの人権が重く見られていないからです。

ベネディクトの「菊と刀」を読むと、日本では子どもと老人に最大の自由があると指摘されています。ここで言う自由とは「甘やかし」のことです。
横軸に時間をとって、縦軸に自由度をとると、日本人の一生は U の字を描く訳です。これは欧米(英語文化圏)とは逆になります。

日本人は菊を愛でる優しい心がありながら、日本刀を研いで人殺しの道具に磨きをかけるという両極端な矛盾した二面性があります。
これはなぜでしょうか? それは子どもを目一杯甘やかし、ある時から急に厳しい態度でのぞみ、子どもに恥をかかせるからです。
アメリカの子どもは夜泣きをしません。親は自分の都合で授乳をおこない、寝る部屋も別々です。赤ちゃんは泣いても親が来てくれないから、泣くのは無駄だと知っている訳ですね。

日本では乳児をとことん甘やかし、会話が成立する年齢になると
恥をかかせます。
「誰々ちゃんはできるのに、お前はできなくて、ああ、恥ずかしい」という具合です。しかしこれも甘やかしの変形で、子どもは「ごめんね」と言って親に抱きついてくるのを親は期待しているのです。

そして小学生くらいになると、親も抱きつかれるのは恥ずかしいので、子どもを冷たく突き放します。
これがまさに北海道の例です。こういうことは、英語文化圏ではおきません。

そこで、オーストラリア在住の僕の友人に取材してみました。友人 A さんは、世界中からホームステイで数多くの子どもを受け入れています。

僕「日本と英語文化圏のしつけの違いはある?」
A 「ずいぶん違うね。東洋は強いるけど、西洋は尊重する」
僕「それって大人になっても影響は残る?」
A 「東洋に指示待ち症候群が多いのは、強制の影響だと思う」
僕「その東洋の中でも日本人の特徴は?」
A 「大人になるのが一番遅いと思う。勉強さえしていれば、家事の手伝いは一切しなくても許されるでしょ? それが日本の特徴」
僕「西洋はお手伝いの文化なんだね?」
A 「それも命令ではなく、お願いの文化。Don't do this. じゃなくて、Can you please do this? なんだ。尊重されるから、責任感が芽生えるんだと思う」
僕「責任感とは強制されて生まれるものじゃないんだね」
A 「オーストラリアの家庭に、日本人家族がホームパーティーに呼ばれた時があった。ホスト夫婦のご主人は日本語が分からなかった。その時、ご主人は、日本人の子どもたちの名前が『あぶない』と『だめ』だと思ったそうだ。奥さんがその言葉を頻発していたからなんだ」
僕「それは日本人らしいエピソードだね。ちなみにベネディクトも70年前に日本人は『あぶない』『いけない』という言葉を連発すると指摘している。それは日本家屋の構造からくるという分析で、敷居や畳の合わせ目が危険なので、そういう言葉を連発するそうだ。でも、その伝統は現代に生きているね」
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私たちの文化は「横並びの文化」で、右を見て同じことをやっていればそれが不正であっても罰を受けないという無責任な文化でもあります。
子どものしつけがどうあるべきかを考えるためには、私たちが永く背負っている歴史にともなう文化を肯定的にとらえるか、変革していこうと考えるかで変わってくると思います。
こどもは誉めて育てよとか、、、愛情たっぷりにとことん甘やかせとか、、、、めりはりをつけてとか、、、そういうキャッチフレーズみたいなものは、何の意味もありません。
まず私たち日本人がどういう人間なのかを理解しないと、子どものしつけなどできません。

昨年のラグビーW杯で日本は世界を驚かせました。
なぜ勝てたか? 理由は多々ありますが、チームの規律がしっかりしていたからです。
規律とはディシプリンのことです。しつけですね。
しかし、北海道の事件はパニッシュメントです。罰です。
あとになって抱いてあげても、子どもの心には傷が残り続け、消えることは残念ながらありません。

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