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R・ワインバーグはなぜノーベル賞を取れなかったのか?2015年10月07日 09時02分00秒

連日の日本人ノーベル賞受賞でメディアが大変賑わっています。
うれしいですね。
僕は物理学に関して完全に素人ですが、カミオカンデとスーパーカミオカンデを舞台にしてニュートリノをモチーフとして日本人が二度ノーベル賞を取ったことになります。

こんなことってあるんでしょうか?
小柴さん戸塚さん、そして梶田さんで一つのノーベル賞であっても不思議ではなかったような気がします。

さて医学生理学賞を考えると、がん研究のスーパースターであるロバート・ワインバーグがノーベル賞を取れなかったのは、本当に気の毒に思います。
彼は一時代、世界のがん研究を完全にリードしました。
しかし、彼の前にビショップとバーマスがプロト癌遺伝子理論でノーベル賞を取ってしまったため、ワインバーグの業績は、その範疇にあると解釈されてしまったようです。
しかしながら、プロト癌遺伝子理論は生物学の発展の大きな理解をもたらしたものの、人のがんを説明する決定的な意味には到達していません。

ワインバーグは、人のがんにおいてプロト癌遺伝子が「癌遺伝子」に変化することを見いだし、さらに「癌抑制遺伝子」も発見しています。
分子の言葉でここまで人のがんを説明できるようになったのはワインバーグの業績によるところが大きいと言えます。
「癌遺伝子」の発見は、現在の分子標的療法にも結びついていますので、やはり偉大な発見だと思うのです。

ニュートリノで日本人が2回ノーベル賞を取ったのであれば、ワインバーグがノーベル賞をとっても全く不思議ではないと僕は思いたいですね。

自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」佐藤 幹夫2015年10月07日 18時28分11秒

自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」
事件当時、メディアで大きく取り上げられたレッサーパンダ帽男による浅草通り魔事件です。
犯人は知的障害を伴う自閉症。
この裁判をフォローしたノンフィクションです。

弁護側は決して被告の責任能力を争った訳ではありません。
自閉症の被告に対して、どう裁くかを突き詰めていこうとしたのだと思います。
しかし、検察側や裁判所にはそういう観点はありませんでした。
責任能力がある以上、普通に裁くという態度でした。

この本の良いところは、被害者の遺族に丁寧にインタビューしている部分です。
筆者は、知的障害者を守る側に立場を置いていますが、だからと言って、罪が赦されるとは考えていません。

殺人を犯してしまえば、ある意味で償う方法などないと言えます。
本当に救いがない。
結局、犯人は無期懲役になります。
現在の刑法では有期刑の最高は30年ですから、無期懲役で仮釈放されるためには最低でも31年は要します。
その頃には、身元引受人はこの世に存在していない可能性が高いので、無期懲役は実質上、終身刑になっています。

この犯人も一生を牢獄で過ごすのでしょう。
これは償いというよりも、隔離と言った方が正確かもしれません。
こういう悲劇をどうやってこの世から消していけばいいのか・・・残念ながら答えはありません。