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サイエンスと倫理が問われた2014年2014年12月26日 19時56分54秒

STAP細胞、新型出生前診断、着床前診断。
2013年から2014年にかけて、サイエンスとその倫理性が問われたと思います。

ぼく自身、大学時代にサイエンスで「飯を食ってきた」身として、サイエンスの怖さがよくわかります。
STAP細胞のような世紀の大発見をしたところで、給料が上がる訳ではありません。
しかし、名誉がもたらされる。その最高峰はノーベル賞です。

人はパンのみによって生きる訳ではありません。
武士は食わねど高楊枝で、名誉こそが人生で一番重要と考える人も多いでしょう。
政治家が「勲章」を欲しがる気持ちにも通じます。

だけど、サイエンスには怖い面があって、ある分野で競争が始まると、大玉が坂を転げるように誰にも制御不能になることがあるんです。
「科学の世界は性善説」などと言いますが、要するにこれは科学をチェックする仕組みをサボっていることに対する単なる言い訳に過ぎません。

政治権力をジャーナリストが監視するように、サイエンスにも倫理的歯止めが本来は必要なんです。

新型出生前診断にしても着床前診断にしても、誰か特定の人間の欲を満たすと、同時に必ず倫理的齟齬が生まれ、優性思想が障害者差別を作ります。
ここでも医者がやっていることに対して倫理的なチェックが必要になるのですが、そこの部分が現状では脆弱ではないでしょうか?

サイエンスとは、本来、人々が幸福になるための技術に過ぎません。
私たちはもう一度、自分たちの依って立つべき原点に回帰し、もっと単純で平明でささやかな幸福を目指した方が良いのではないでしょうか?