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ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書) 杉山 春2013年11月23日 22時17分31秒

ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件
一級品のルポだと思います。
事件の本質を炙り出すために、筆者は家族の背景を深く遠くまで探っていきます。
その取材が実に分厚い。
そして弁護側の鑑定をおこなった西澤哲さんのコメントがとても的確。
現在ベストセラーのようですが、それも当然かなと思える程良くできた作品です。

ただ結論に関しては、完全には納得しきれない部分も残ります。
この母親は、心を病んでいたことは間違いないと思います。
強固な殺意もなかったでしょう。
虐待・ネグレクトの「連鎖」が起こした事件であることはその通りでしょう。
しかし、「子どもを死に至らしめるくらいな、母親を降りれば良かった」というのが(おそらく)作者の結論でしょう。
赤ちゃんポストと同じ発想ですよね。
それは確かにそうだと思いますが、捨てられる子どもは本当に可哀想です。

昨日の新聞に、新型出生前診断によって54人中53人の染色体異常の赤ちゃんが堕胎されたと書かれていました。
この人たちは、母親であることを降りたのですね。とても悲しい報道でした。

そんなことも考えると、「母親に降りられる側」の子どもには救いがないなと暗澹たる気持ちになります。
大変な良書ですので、皆さんもぜひ読んでみてください。

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