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受賞後、第一作2013年08月01日 23時13分54秒

受賞後、第一作は、千葉市医師会の広報誌です。
別にぼくに白羽の矢が立った訳ではなく、要は、開業医が順番に書いているということです。
一昨日、依頼が来て、すぐに書き上げました。
こんな感じです。

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(タイトル)「ダーウィン医学と発熱」

イギリスのチャールズ・ダーウィンは19世紀の最高の知識人の一人です。動物には突然変異が起こり、その変異が種の保存に有利であれば、変異が子どもに受け継がれていくという自然選択説を彼は提唱しました。今日の進化論の根幹をなす考え方です。この説を医学に応用したのがダーウィン医学です。


私たちは感染症や生活習慣病などによって常に健康を脅かされています。もしこういった病気が、人類にとって本当に必要が無いものであるなら、これらの病気は進化の過程で消えていたはずです。では病気が存在する理由は何でしょうか? 私たちが日常頻繁に経験する「小児の発熱」をダーウィン医学の観点から見つめ直してみましょう。

小児の発熱の原因の99%は風邪です。そして風邪の原因の99%はウイルス感染です。ウイルスは「生物と無生物の間」のような物質ですから抗生剤はまったく効果がありません。風邪(ウイルス)を治しているのはお医者さんの薬ではなく、お子さんの免疫力なのです。ちなみに普段から抗生剤を使いすぎると、薬が効かない菌が体内に増えていきます。

人の体の中にウイルスが侵入すると免疫細胞がそれを察知します。サイトカインという免疫物質は、プロスタグランディンを働かせ、その結果、脳の体温設定温度が39度くらいにセットされます。その時、お子さんの体温が38度くらいにとどまっていると寒気を感じる訳です。やがて体温が39度に上昇すると、ウイルスは活動が弱まり、ウイルスを攻撃する白血球は活発に働きます。ウイルスが破壊されると、役目を終えて体温設定温度は36度くらいに下がります。こうなると一転して熱さを感じますから、子どもは汗をかきます。汗をかいたから治ったのではなく、治ったから汗をかいたのです。

人とウイルスの闘いはほとんどが72時間以内に決着がつきます。従って72時間以内の発熱ならば、呼吸困難や意識障害が無い限り、どれだけ高熱でも、危険な発熱などはまず存在しないと断言していいでしょう。発熱はウイルスを退治するのです。

人は風邪ウイルスと共存共栄することによって、人の命を奪うようなもっと恐ろしい病原体から、結果として身を守っているのかもしれません。

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以上です。面白くないかな?
昨日約束した「書評」はまた今度。
現在、「受賞のことば」を書いており、けっこう苦戦しています。

うつ病放浪記 絶望をこえて生きる (講談社)工藤 美代子2013年08月02日 21時41分29秒

うつ病放浪記 絶望をこえて生きる
え? 工藤さんがうつ病に?
そう思って「g2」に連載されている時から注目していました。
今回、1冊の本としてできあがった作品を読むと、やはり工藤さんは文章がうまいなとつくづく思います。

さて、うつ病などの気分障害は現在日本で100万人患者がいると言われています。
つまり誰にでも起こる病気です。
ぼくも歳をとったせいか、ときどき猛烈に気分が塞ぎ込んだりします。ま、ぼくのことはいいか。

で、うつ病は、病識がはっきりしているとは言わないまでも、自分の気分の変調をかなり自覚しているのが普通です。
工藤さんの場合は、ご主人は気付いていたそうですが、ご本人にはまったく自覚が無かったそうです。
精神より肉体の異常ばかりが目立つと診断が遅れることがあり、これを「仮面うつ病」と言います。これに相当するケースだったのかも。

自分自身の闘病記を書くというのは、色々な意味で難しいと思います。
まず自分自身がうつ病を克服しないと文章を書けないし、自分を客観視するって相当難しいはず。
ですが、そういう部分を乗り越えて良書に仕上がっていました。

この本は3部からなります。
まずは、言葉は不適当かもしれませんが、ドクターショッピング。
いやあ、本当にこんな医者が実在するのか? というドクターが次々にでてきます。
東京というのは人口も多ければ、医者も多いので、こういうこともあるのでしょうね。
不謹慎かもしれませんが、興味津々で読んでしまいました。

そして工藤さん以外の、いろいろな方たちの「うつ病体験談」。
これはけっこう重い。一つ一つがドラマです。
人間という生き物は、こうして基本的にストレスを抱えて生きて、あるいは自分から苦しみを求めてしまったりするのが特徴だと思います。
類人猿とはそこが違うでしょう。

最後のまとめはかなり良かった。
うつ病をどう生きるかという工藤さんの提言は、人生をよりよく生きるためのアドバイスに通じます。
六つの提言があるのですが、ぼくは個人的に、「太陽をたっぷり浴びよう」という最後の言葉が良かった。
こういう言葉って、誰にでも言える訳ではないんですよね。

ラストでぱっと明るくなって読了することができました。
アマゾンを見ると、かなり売れているようです。
皆さんもぜひどうぞ。

梗概を読みたい人は、どうぞ2013年08月03日 21時02分30秒

小学館からプレスリリースという形でPDFが公表されていることを知りました。
この中にぼくの原稿の梗概が載っていますので、読みたい方はご覧になってください。

自己紹介で、自分の専門を「新生児外科と小児がん」と書こうと思ったのですが、「新生児外科」では意味が通じないと思って「外科的先天異常」にしました。
どっちにしても分かりづらいですよね。
要するに、「赤ちゃんのお腹を開けて手術をする」ということです。

http://www.shogakukan.co.jp/st/files/20130726.pdf

ある友人はこの梗概を読んで、ぼくが取材した家族に大変興味が湧いて、本編を読みたくなったそうです。
そう言ってくれると大変嬉しいです。
頑張って1日でも早く上梓したいと思っています。

さて、明日は日産スタジアム・ライブ。
いや、今から緊張しています。帰宅は夜遅くになるので、恐らくブログは書けないと思います。

ところで8月5日(月)は、電子カルテの総入れ替えを行いますので、午前中は休診です。
ご迷惑かけますが、電子カルテが作動しないとクリニックが成り立ちませんので、ご理解ください。

ももクロ、日産スタジアム・ライブより帰還2013年08月04日 23時26分12秒

無事に自宅に到着しました。
脱水になることも、低血糖になることも、足がつることも、「地蔵」状態になることも、声をつぶすこともなく、6万人のモノノフさんと一緒にライブを楽しみました。

行って本当によかったと思います。
そして、ももクロのライブがどのようなものか「理解」することもできました。

詳しい感想はまた後日にします。
明日は電子カルテ入れ替えによる、新しい診療体制の準備があるので、午前は休診。よろしくご了解ください。

ちょっと右足のアキレス腱が痛いな。明日は筋肉痛かも。

日産スタジアム参戦記2013年08月05日 21時00分10秒

ももクロ・日産スタジアム
東京駅から新横浜駅まで、新幹線でわずか18分だった。
切符を買うのに時間かかるということもなく、普通に買って普通に電車に乗り込んだ。
指定席にゆったりと座り、たちまち新横浜駅に到着する。

駅を降りると、モノノフと思われる人がわずかにいるだけである。
人の流れにそってスタジアムへ歩いていけばよいと思っていたが、そういう流れはできていなくて、街の地図看板を見ながら歩いて行く。
5分、10分と歩いて行くうちに、5色の法被やTシャツを着た人がどんどん増えていく。いや、しだいに街中そんな人で一杯だ。

ローソンなどのコンビニではそういったモノノフで溢れている。
お、日産スタジアムが見えてきた。でかい。立派な建物だ。
直近の交差点までくると、もう人の波である。5色の大群衆だ。
ゲートをくぐって自分の席へ行く。
通路から3番目と4番目なので、心理的に楽である。
開始まであと45分ある。続々と席が埋まっていく。

メインスタンドに巨大なステージが建てられている。
従ってメインスタンドに観客は入っていない。
僕の席はバックスタンドの1階15列目だ。中央からは大きく離れたコーナーに近い場所である。
フィールドに目をやると、芝生には座席は用意されておらず、芝生周囲のトラックがアリーナ席になっている。
そしてバックスタンドと芝生の間のトラック部分には、サブステージが設置されている。
メインステージよりも、こちらの方が距離は近いが、僕の座席からは死角になるので見づらいのではという予感あり。

スタンドではあちこちでメンバーの名前のコールが起きる。
一番人気は「しおりん」。
誰か一人が立ち上がって「みんなの妹!」と叫ぶと、周囲から一斉に「しおりーん!」という絶叫があがる。

そして定刻の16時にライブはスタートとなった。
のっけから総立ち、大コールである。
「日本を元気にする」「ライブとスポーツの融合」がテーマなので、聖火の点火があり、そして「君が代」斉唱となる。
演奏するのは・・・・。
舞台からせり上がってくるのは、ギターでキメた布袋寅泰!
6万人のどよめきと歓声が爆発する。

生歌はもちろんだが、演奏も2/3くらいは生バンドだ。
僕の右方向に巨大なスピーカーがあってそこから音が聞こえてくるのだが、野外であり、音は拡散傾向になってしまう。
そしてその大音量をファンのコールがしのぐ。
僕も叫ぶが自分の声が聞こえないくらいだ。
従って、ももクロの歌もよく聞こえないこともしばしばである。

予想はしていたけれど、5人のメンバーは米粒みたいに小さく見える。
大型スクリーンが設置してあるのだが、それも物足りないくらい小さい。
本当に生身の人間が歌っているのかと、まるで現実感・手触り感が無い。
双眼鏡で覗いてみると、確かに百田夏菜子である。

日産スタジアムを事前にwebで調べたら、座席がゆったりと作られていると書かれていた。
だが実際にはそんなことはなかった。飛行機の国際線を想起してしまった。
足元にバックパックを置いたのが今から考えれば失敗だったのだが、とにかく「自分のスペース」が狭い。
隣の女の子が振るサイリウムが僕の顔に当たるんじゃないかとヒヤヒヤする。

前半が終わってハーフタイムショーになる。
芝生を使ってのサッカーが展開される。北澤豪さんとかが出場していた。
この時間帯を利用して、以前からずっと懸案だったトイレへ向かう。
呆気ないくらいにトイレはガラガラである。

後半も5人の歌う力は衰えることなく、結局アンコールを含めて全部で29曲歌った。
彼女たちにはまだまだ伸びしろがあると感じることができる。
良い意味でまだまだ未完成だ。
だが、あの踊り、あの動きで「歌が唄える」ということだけでも驚異的である。尋常ではない体力・呼吸機能だ。

ほとんどが「鉄板」の人気曲ばかりで、会場のボルテージは上がりっぱなし。
ライブは4時間30分を越えて、家内は最後の2曲くらいで疲れてしまった。
なので、一番最後のMCは割愛してスタジアムを出る。

夜道を駅に向かうと、ものすごい数のモノノフが早足で歩いている。
新横浜駅付近では、何軒もの居酒屋さんの前で客引きがすごい。
プラカードに「ももクロ・DVD上映中」と書かれている。
なるほど、余韻を楽しみたい客を当て込んでいるようだ。

新幹線の切符売り場の行列はそんなに長くない。やはり早めに出てきてよかった。
ゆっくり座って千葉まで帰ることができた。

ライブに参戦して本当によかった。冥土の土産ができたし、行かなければ一生後悔したと思う。
しかし、音を楽しむ多幸感はそれ程でもなかった。
ジャズクラブの演奏の方が、はるかに「ライブ」しているだろう。
ももクロのライブは「巨大な盆踊り」のようでもあり、「エンターテインメント・ショー」でもあり、「ディズニーのエレクトリック・パレード」のようでもあった。
2年前には6千人だった会場が、今年は6万人である。
こうなると、ももクロは、一種の「記号」のような存在になっている。
人気が人気を呼ぶし、ももクロのライブに参戦すること自体が娯楽になっている印象を受ける。
「オタク」みたいなファンはほとんど見かけなくて、家族連れやカップル客が目立っていたのも肯ける。

ももクロの歌に感動するというより(もちろん感動する場面もあり、家内は泣いていたが)、ももクロの5人と6万人のファンが一緒にイベントを構成しているといった感じだ。
「非日常」の「夢・幻」の世界を覗いてきたという印象である。

わずか3年くらいで普通の少女が、夢の中のアイコンになったのだから、これはやはり現実離れしたサクセス・ストーリーだ。
いや、彼女たち自身はどう思っているのだろう。
サクセスと思っているのか? 
戸惑っていないのか?
サブステージがせり上がって、数十メートルまで上昇した百田夏菜子の目には何が見えたのだろうか?

12時間くらいインタビューしてみたいな。

家内は「杏果」推し2013年08月06日 21時42分56秒

花が来る
昨日、書き忘れましたが、ぼくは思想的にアカなので、当然、「夏菜子」推しです。
ライブにはウエールズ・ラグビー・チームの赤い帽子を被っていきました。レッド・ドラゴンですね。

家内は「箱」推しなのですが、今回は迷った末に緑のペンライトを買いました。
つまり「杏果」推しですね。

彼女はね、本当に性格がいいと思いますよ。態度の端々にそれが出ています。
そして本当に歌が上手い。
ライブで聞いても5人の中ではピカイチでした。


写真は、講談社の前の担当編集者さんが贈ってくれた花。
こんな性格の悪いぼくに、なぜ、みんなは良くしてくれるのでしょうか。
感謝の気持ちで一杯です。

ホテルローヤル (集英社)桜木 紫乃2013年08月07日 22時19分12秒

ホテルローヤル 桜木 紫乃
直木賞受賞作ですね。
薄い本なのですが、読むのにけっこう時間がかかりました。
つまらなかったからではありません。
桜木さんの言葉の一つ一つが深かったからです。
つまりけっこうじっくりと読んでしまったんですね。

ホテルローヤルを舞台にして、時間を遡っていくという連作は、大変ユニークな設定です。
桜木さんが発明したアイデアなんでしょうか? そうだとしたら、これだけでも「成功」ですよね。

雑誌への連載が2010年から始まっていますから、4年がかりの連作集ということですね。
なかなかの時間的なスケール感があります。

さすがに小説家は文章がうまい。当たり前か。
ぼくもこういう文章をいつかは書いてみたい。ま、無理か。

時間がないので2013年08月08日 22時45分10秒

現在、5冊くらいの本を同時に読んでいて、なんだか収拾が付かない感じになってきました。
1冊ずつ順番に読了したいので、今夜は読書にじっくりと時間をとりたいと思います。
なので、ブログは休筆します。ごめんなさい。

TPP亡国論 (集英社新書) 中野 剛志2013年08月09日 20時22分29秒

TPP亡国論 (集英社新書) 中野 剛志
今頃・・・という感じですが、中野さんの「TPP亡国論」を読みました。

難しい経済の話を大変分かりやすく書いてあって、とても勉強になりました。
ぼくが普段から「何となく」おかしいと思っていたがことが、非常にクリアに論じられている印象でした。
説得力も論理力も十分にあったと思います。
ただ、何カ所か、もう少し詳しくお話を伺いたいなと思った部分もありました。

TPPの条約締結は坂を転がるように、もはや止まりそうにありませんね。
国民的な議論もほとんど無し。
なぜでしょうか?
それは政治の責任だと思います。
政治家がTPPを自分の人気取りに利用するからです。

中野さんは、TPPを推進する政治家を「売国奴」と呼んでいます。
すると安倍さんも「売国奴」ということでしょう。

政治的なスタンスがまるで違う菅さんと安倍さんが、なぜTPP締結に向かって進むのでしょうか?

菅さんは「開国」というキャッチフレーズで内閣支持率を上げたかったのでしょう。
安倍さんは、「決められない政治」からの脱却で人気を高めたいのでしょう。
つまり100年単位で日本の国益を考えている政治家なんてほとんどいないということです。
そもそも政治家にどれだけ「教養」があるのか大変疑わしい。
「哲学」とか「経済学」をちゃんと知っているのか?
資本主義者であったとしても、マルクスの「資本論」くらいは読んでいて欲しいが、そんな人は滅多にいないのではないかという疑念がぼくにはある。

彼らは、基本的に「地域」や「業界」のボスであり、各構成員の利害を調整する「親分」みたいなものではないか?
そういう「経済」の素人が、何か勘違いして、国の方向を誤らせることがあれば、大変危険だと思います。

私たちはお隣の国が「世襲制」であり、大変遅れた国だと考えていますが(それだけならいいのですが、ミサイルをうったりするので困る)、日本の政治事情だって大して変わりません。
我が国の政治家というのは、大多数が「世襲制」で、身分が生まれながらにして決まっています。
え? 選挙がある?
では、山口4区の国会議員が、岩手4区から選挙に出て当選できますか?

こういう政治力の弱さは、「お上」に従ってきた日本の伝統なのでは?
「改革」、「改革」と叫んでいれば、政治家には何となく人気が出ます。だけど・・・・。
いや、もういいから、「改革」なんて。
「改革」しないでいいから、100年のスパンで日本の姿を語って下さい。
ちゃんと「歴史」に学んだ、未来への「展望」を聞かせて欲しいですね。

五味鳥で暑気払い2013年08月10日 23時05分07秒

医学部ラグビー部の時の仲間と、五味鳥で暑気払いをしました。
と言ってもあまりの猛暑に暑気を払うことはなかなか叶わず、キンキンに冷えた生ビールもたちまち温くなる有様でした。

ですが、刺身や焼き鳥を食べて、さらにメニューに無い「裏メニュー」までお願いして、旧交を温めて楽しい時間はあっと言う間に経っていきました。
あまり深酒はせず、帰途につきました。

世間はお盆休み。
クリニックも空いていました。
来週の月曜日と火曜日は診療をおこないますが、あまり患者さんは来院しないかもしれませんね。

千葉大医学部の副医学部長である白澤先生から、小学館ノンフィクション大賞の受賞の手記を依頼されました。
千葉医学会誌に掲載されるそうです。
白澤先生は分子ウイルス学教室の教授。ぼくの大学院時代の指導教官です。当然引き受けます。
連休を利用して3000文字くらい書きましょう。