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「反動世代―日本の政治を取り戻す」 森 健2013年07月11日 21時25分16秒

「反動世代―日本の政治を取り戻す」 森 健
タイトルがぼくの政治姿勢とかなり異なるのでちょっとこれは読めないなと思いました。
ところが何と、インタビューをしているのは森健さん。
案外、奥が深いのかもしれないと思い読んでみたところ、ずばり正解でした。

4人の経済学者(経済人)が登場しますが、一番面白いのは明らかに中野 剛志さん。
新自由主義に反対。
グローバリズムに反対。
構造改革に反対。
TPPに反対。
つまり、「改革」なんてやらなくていいという立場です。

中野さんの立場は「保守」であり、「反動」かもしれないけど、「南京大虐殺」などどうでもいいという立場だし、憲法など無視という立場です。
つまり古い「保守反動」のように「南京大虐殺はウソだった!」とか「憲法を改正して軍隊を保持しろ!」とか言わないんですね。

で、反TPPの論陣を張って、それで社会が変わると思っていない。
ではなぜ発言するかと言えば、彼の責任感のようなものから来ているようです。

ぼくは自称「アカ」などとFBでよく言ってみんなの笑いを取りますが、日本が社会主義国家なった方が良いとはさすがに思っていない。
ぼくの根本思想は、不条理に苦しむ人、弱い人が、周囲の優しさによって救われる社会を望んでいる訳です。
弱い人が存在しないようにするためには、強い人も存在してはいけない。つまり水平な人間関係の社会が良い。

小さな政府と大きな政府を比べれば、大きな政府が良い。
政府や国家や権力は何のために存在するのか?
それは弱い人に援助の手を差しのべるためです。
決して人民が命を差し出すために存在するのではありません。

ぼくが「保守反動」を嫌うのは、彼らが「この俺様のために命を差し出せ」と居丈高に命令するからです。
ところが、中野 剛志さんは、そんなことはまったく言いません。
「反動」という言葉は中野さんの照れなんではないでしょうか?

改革?
そんなものは必要ないんじゃないですか?
20年くらい前までの日本は、年功序列で、終身雇用で、会社が家族みたいで、社会に儒教的な道徳観があって、恥の文化があって、けっこう美しい国だったのではないでしょうか?
もちろん、その中には不条理の苦痛は様々な場面で存在したけれど、歴史の流れと共にそういった不条理は1ミリずつ削られていったのではないでしょうか?
歴史というのは、特定の人間が作るものではないと思います。
政治家や新聞ジャーナリズムが歴史を作れると思ったら大間違いです。
社会を構成する人たちの潜在意識が、気が遠くなるような時間をかけて歴史の歯車を回すのだと思います。
人は基本的に道徳的な生き物で、よりよい社会の到来を待ち望みます。
不条理な苦痛にあえいでいる人を見れば、手を貸したいと考えます。
そういう意識の集大成が歴史なんだと思います。

だから無理やり「改革」とか「道州制」とか言わないで、日本人が昔から持っている横並びの仲間意識を成熟させていけばいいだけの話でしょう。

TPPですか? 必要ないんじゃないですか?
これがあれば、大企業は輸出が有利になって儲かるでしょう。
これがなくても減収になる訳じゃない。
では農家は?
これがあれば、壊滅するかもしれない。
じゃあ、TPPはないほうがいい。
これ以上、巨大企業がガバガバ儲けて、一体その先に何があるのでしょうか?

日本の人口は減っています。
今後何十年というスパンで見れば、国の形が変わるくらい労働者の数は減ります。
経済が成長しなくてはいけないと、なぜ決めてかかるんでしょうか?
アベノ何とかと言って、株価が上がり、大儲けしている人が日本にいったい何人いるのか知りませんが、ぼくの生活は何も変わりません。
いや、ガソリン代などの値上げで生活感が苦しくなった。
ごく一部の金持ちの姿を見て、それにあやかろうと思うなんて実にさもしい。
蜘蛛の糸をよじのぼって、自分もおこぼれに預かろうとしている品位の無い姿がそこにあるのではないでしょうか?

中野さんは今後も「反動」を名乗るでしょうし、ぼくも自称「アカ」で生きていきますが、愛国の質は相当近いなと思いました。
それにしても森健さん。
さすがプロのライターです。「政治」も「経済」も「ライフサイエンス」も「IT」も「いのち」も書けるというのは、なんでしょう? 実は法学部出身なんですよね。
買うのに躊躇しましたが、読んでみて世界が広がりました。
専門用語など少し難しい部分もありますが、オススメの一冊です。
ま、ぼくが勧めなくてもベストセラーになっているようです。

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