アクセスカウンター
アクセスカウンター

「歪んだ忌日」西村 賢太2013年07月01日 22時13分38秒

歪んだ忌日
西村さんの私小説の最大の魅力は「文章」だと過日書きましたが、内容に関して言えば、クライマックスで爆発するDVの暴言・暴力といったある意味誰でも思いつくような題材よりも、日常の中にあるどうでもいいような些細なことに細かく意味をくっつけて長々と書く、その粘着的な姿勢が何とも良いと思います。

たとえばこの短編集では、秋恵が拘るベンチ。あんなものをモチーフにしてよくぞまあ、何でもない生活の一場面を私小説に仕上げられるなと感心します。
そして中学卒業後の貫太が、金に窮する場面。金に対する細かい計算・打算・取らぬ狸の皮算用が延々と描かれます。

それが読んでいて本当に面白い。引き込まれるように読んでしまう。書いている本人はどうなんでしょうか?
これを書けば読者が面白がるとちゃんと予測しているんでしょうか?そこが何とも不思議。

と言うわけで、今夜は西村さんの最新作を読みました。

給油回数の少ない車2013年07月02日 23時39分22秒

ぼくは今から10年くらい前に、日産のエルグランドという車に乗っていました。
さんざん試乗を重ね、アルファードと比べたりしながら、大金をはたいて購入したのです。
ところがこの車、試乗した時にはあれ程魅力的だったものが、ディーラーから自宅へ移動する最初の走行でいきなりイヤな予感がしました。
娯楽として「非日常的」に乗るならば楽しい車なのですが、毎日の足として「日常的」に乗るにはまるで相応しくない。
そんな風に考えてしまったんです。
そしてとにかくメチャクチャ燃費が悪い。
まるでガソリンを散水しながら走っているみたい。
毎週のように給油をするのですが、季節がちょうど冬だったため、本当に辛かった。

ガソリン代うんぬんはどうでもいい。
CO2削減も(大きな声で言えないけど)どうでもいい。
給油回数の少ない車が欲しい。

その後ぼくが買った車は数台に及びますが、ま、いずれも普通の車。特に燃費が良いわけでも悪いわけでもありません。

で、先日書いたように家内が給油回数を減らしたいと言います。
それならばハイブリッド車かな? と思うのですが、トヨタのアクアを見て少々驚きました。
アクアに乗っている人には大変失礼な言い方になるかもしれませんが、この車は、燃費を向上させることだけを考えて作られた車のような気がします。
もう少しはっきり言うと、現在家内が乗っている(一世代前の)モコの方が内装がよくできています。

価格も、当たり前ですが決して安くない。
安い車を買いたいならば、やはり軽自動車という選択になります。

ホンダの N one を見てきたのですが、テレビのCMやネットで眺めると相当おかしな顔付きなのですが、実際にはなかなかしゃれています。
塗装が大変深くて、実はコストがかかっているのかもしれません。
燃費は27.0 km/L ですが、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトのために、燃料タンクが35Lもあります。
これはVWの up! と同じです。

現在のモコが 20.2km/L X 30Lですから、1.5倍くらいの距離を走る可能性があります。

そしてもう一つ興味のある車があってそれは日産のDayz。
29.2 km/L X 30L と言いますから、N oneに近いでしょう。

果たしてこういった車に乗り換えて、給油回数が減ったと実感できるのでしょうか?
車に詳しい(業界内の)人に聞いてみると、あまりかわらないのでは? という意見。
9月になるとフィットがフルモデル・チェンジになるので、それを待ってもいいかも。
フィットは一時購入を考えた車で、本当によくできています。
自転車も2台積めるし。
驚異の車です。

後から出てくる車のほうが良いに決まっていますから、一時的にフィット・ハイブリッドはアクアを抜くでしょう。

ま、明日は取り敢えず、Dayzを見学に行ってきます。

日産 Dayzとホンダ N one に乗る2013年07月03日 22時37分12秒

日産 Dayz に乗る
まずホンダに行きました。
N one を見るのはこれで2回目ですが、本当に不思議な車。
写真でみると安っぽく見えてしまうのに、実物を見ると高級感がある。
一番の理由は先日書いたように「塗装」が良いからでしょう。
試乗してみたところ、正直な感想は、現在乗っている日産モコと特に変わりなし。
専門家が試乗すればいろいろと意見があるのでしょうが、ぼくの個人的な意見では軽自動車の乗り心地というのは、もうあるレベルまで到達してしまっているように思えます。
だからモコよりも優れているとは感じませんでした。

ただ燃費は大したもので、試乗車のメーターに表示された通算の平均燃費は19.8km/L となっていました。
ホンダの人に伺ってみたら、街乗りだけに徹しても、15から17はいくのではないかという話でした。

さて、N oneの通常版は内装が若干チープに感じます。
上級グレードを選べばこの悩みは解決しますが、するとけっこうな金額になってしまうんですよね。
ホンダは、N oneを軽自動車ではなくコンパクトカーのダウンサイジング車と考えているようです。

さて、次は日産 Dayz に試乗しました。乗り心地はの感想は N one とまったく同じ。
ただ敢えて言えば、モコの方が、本日試乗した二つの車よりエンジン音が静かな印象があります。
また、「エコ」を考えていない分、走り出しは、モコの方がいいと家内は言っていました。ぼくには違いが分かりませんでした。

Dayz の内装は大変よく作られている。これは日産アイデンティティーとも言うべき、特徴でしょう。
車というのは結局常に車内にいて扱うものですから、内装が悪いと気持ちが萎んでしまいます。
そういう意味で、日産車は見事です。
燃費は、カタログ上は N one より上ですが、実燃費はよくわかりませんでした。ディーラーの方が今後調べてくれるそうです。
Dayz の欠点を敢えて挙げると、外装のカラー。好みの問題なんですが、種類がすくなく、残念ながら家内が惚れ込む色は無かったようです。

ところで日産のディーラーで、モコの買い取り価格を査定してもらったところ、想像をはるかに超える安い金額で一瞬言葉を失いました。
軽自動車って値崩れしないというイメージがあったのですが、3年経ったらこんなものかと思い知らされました。

いずれにしても、給油回数減らしたいというのが大目的。
今のモコに、燃費を除けば何の不満もありません。
スタイルも可愛いし、内装もキレイ。走りもいい。

買い換えるかどうかはしばらく悩んでから決めましょう。9月くらいかな。

キング・クリムゾン「レッド」2013年07月04日 22時48分49秒

キング・クリムゾン「レッド」
キング・クリムゾンの「レッド」というアルバムを買いました。
高校生の頃にくり返し聴いていた作品ですが、当時はLPレコード。
ぼくの膨大なレコード・コレクションはすべて捨ててしまいました。

で、You Tube をいろいろと視聴していたらキング・クリムゾンに再会してしまいました。
やはりいいものはいい。
クリムゾンには傑作アルバムが多数あるのですが、ぼくはこの「レッド」が一番好きかもしれない。

細かいことを言えば、メロトロンという楽器の音色が本当にいいんですよね。
今はないでしょ? メロトロン。

「レッド」というのは乗り物のスピードメーターのレッドゾーンの意味ですが、この世の終末みたいなものを暗示しています。
世界の終焉かもしれないし、人生の最後の一瞬かもしれない。
いずれにしてもこのアルバムを以て、キング・クリムゾンは一旦解散して活動を停止します。
たぶん、最後の一枚ということを意識して作ったのでしょう。

アルバムの最後の曲は「Starless」と言います。
いやあ、暗いですよね。
ロック史上に残る名盤だと思いますので、ロックに興味ある人はぜひ聴いてみてください。

偏頭痛とうつ病2013年07月05日 23時34分15秒

ぼくは長年、偏頭痛に苦しんでいます。
大学を退職してかなりましになりましたが、大学病院に在籍中は年間100日くらい頭痛があったものです。
今でも月に2回くらい不快な頭痛があって、以前よりも典型的ではありませんが、その痛みは「偏頭痛」と言われるものです。

偏頭痛の機序はかなり明確に分かっています。
一番のきっかけはストレスから解放されること。従ってサラリーマンでは週末に多い。
ほっとすると、血中のセロトニン濃度が上昇します。
セロトニンは脳の血管を収縮させるため、一時的に脳への血流が減少し、目の前が暗くなったり、目がチカチカします。匂いや音に敏感になるのもこの時期です。

やがてセロトニンが枯渇し、血管はリバウンドで拡張します。
すると、血管の周囲に巻き付いている神経を引き伸ばす。これが痛みの本性です。
従って、血管の拍動に伴って、頭がズッキン、ズッキンと痛むのです。

治療は枯渇したセロトニンを補充すればいい。
そこで、セロトニン受容体作動薬が使われるのですね。これは劇的に利きます。

さて似た薬で、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」というものがあります。
神経の信号の伝達のため、神経から神経へセロトニンが放出されます。放出されたセロトニンは元の神経細胞に再取り込みされます。
これを阻害する薬を使えば、常にセロトニンによって神経伝達が続く訳ですね。
これが、うつ病の薬なんですね。

世界の薬剤メーカーは、この手の薬の開発に最大の努力を注ぎ込んでいるのではないでしょうか?
抗がん剤がある面で頭打ちというか、壁に突き当たっていますからね。
心の病は、誰にでも起こりうる病気だし、うつ病を含めた気分障害は、日本で100万人の患者がいると言われています。
ぼくも加齢のせいか、若い頃に比べて物事をネガティブに考えてしまう傾向があり、一つの思考にとらわれて、過剰に自分を責めたりします。

心の整理整頓をうまくやっていかないと、人生の終盤をうまく過ごせませんね。
注意しましょう。

ところで今日は朝から偏頭痛がきつく、腕や脚にも痺れがある始末。
こういう時はブログを休筆して早く寝ましょう。
あ、書いちゃったか。

第35回講談社ノンフィクション賞候補作品2013年07月06日 21時52分48秒

「g2」のHPに第35回講談社ノンフィクション賞候補作品が掲載されていました。

http://g2.kodansha.co.jp/279/280/25991/25992.html

大変お恥ずかしいことに、ぼくは5作のうち、3作の書名(存在)を知りませんでした。
もしそれらが大ヒットしている作品でないならば、こういった顕彰というのは大変意義深く重要なことだと思います。

高野さんの「ソマリランド」も候補なんですね。
以前ここで書きましたが、「g2」インタビューにお願いしようかと考えた著書です。
申し分なく面白いのですが、スケールが大きすぎて、ぼくには荷が重いと思って断念した経緯があります。
インタビューを考えた時に、高野さんの情報をググっていたら、なんと高野さんは、毎日新聞社の藤原章生氏と交友があるんですね。
びっくりしました。
毎日新聞の藤原というのは何度もここで書いていますが、ぼくの中学以来の友人です。

さて、いったいどの作品が大賞を取るのでしょうか?
結果にも注目ですがムック「g2」に掲載される選考委員会の選考過程がとても面白いんですよね。
今年から選考委員に後藤正治さんが加わるようですね。

ムックの発売は9月26日です。ぜひ、読んでみてください。

七夕の素麺2013年07月07日 22時07分29秒

七夕の素麺
長女(高校2年)がすべて作りました。
日本酒と共においしく頂きました。

さて、今日は大変体調が悪く、ほとんど一日ソファで寝そべっている始末でした。
何冊か本を手に取ったのですが、スピードも上がらず、あまりスムーズに頭に入ってきませんでした。

数年前に手足が痺れて呼吸が乱れた時に大変似ていました。
結局あの時は神経内科を受診して内服薬で改善したのですが、今日はその薬を早め(いつもは寝る前)に飲んで、一眠りしたらだいたい回復しました。

ぼくはリラックスするのが下手で、いつでも何か考え事を、それもかなり濃密な考え事をしているので、脳の中に異常電流が飛び交っているのでしょう。
それで脳が疲れてしまって、体調不良につながるのだと思います。
テレビでも観て寛げれば、こんなことはないのかもしれませんが、自分の知的アクティビティーがあと何年で枯渇するのかと思うと、のんびりしているヒマはありません。
分かってはいるのですが、自分で自分の脳を消費しているようです。

夜からは元気も出てきました。
明日はしっかり診療しましょう。

人は衰える2013年07月08日 23時30分53秒

8月の日産スタジアム・ももクロ・ライブに備えて筋力を付ける必要があります。
春の西武ドーム・ライブは4時間30分に及んだと言いますから、最低でも4時間以上立ち続ける筋肉が必要です。

家内は真面目に週に5日、室内で自転車を漕いでいます。
ぼくは週に2日の目標を立てているものの、何やかんやと用事が入ってしまい、自転車も漕ぐ時間が作れません。
念のために言っておけば、自転車はただ漕ぐだけの時間を確保すればいい訳ではなく、その後に入浴しますから、家内の家事のタイムスケジュールに合わせる必要があり、ふと思い立ってすぐには漕げないのです。

ま、それはいいのですが、いずれにしてもこんなことでは4時間のライブに耐えられません。
じゃあ、筋トレをやろう。
で、ヒンズースクワットを100回のつもりで気安く始めたら50回でもう限界。
そして1日経過したら猛烈な大腿四頭筋の筋肉痛。
こんな筋肉痛は、大学生の時に菅平でラグビーの合宿をやった時以来。
その時は階段を這って上がったけど、今回も同じようなもの。
これは参った。
口では自分のことを「老人だ」といつも言っていましたが、本当に老人ですね。
人は衰えるんだなあ。

で、今日はヒンズースクワットは無理ですから、腕立て伏せをやりました。
サイリウムを振るためですね。
50回を目指しましたが、25回で限界。
腕が筋肉痛になると診療に差し支えますから、もうやめておきましょう。

いやあ、先が思いやられる。

「立花隆の書棚」2013年07月09日 22時15分51秒

「立花隆の書棚」
これは立花さんの「本」というよりも、「写真集」と言っていいでしょう。
題名は忘れましたが、昔、妹尾河童さんが書いたネコビル(立花さんの書棚のビル)の俯瞰図を見たことがあったので、本書に目を通してその本の多さに驚くということはありませんでした。

ですが、写真の迫力はすごいものがあります。
立花さんの図書館のような書棚を漏れなく撮影するカメラマンの執念は大したものです。プロの技術ですね。

本を眺めているだけで幸せという人には、十二分に楽しめる一冊です。

工藤写真館の昭和 (講談社文庫) 工藤 美代子2013年07月10日 23時01分26秒

工藤写真館の昭和 (講談社文庫)
今日の診療は午前のみで、患者さんの数も少なかったのですが、なぜかとても疲れてしまい、帰宅した後で少し眠ってしまいました。

目が覚めると俄然元気になって本を3冊読みました(うち1冊は以前から読みかけだった)。
最初に読了した「工藤写真館の昭和」についてちょっと触れておきます。

本書は工藤美代子さんが自分の(主に)祖母に話を聞いて、工藤家の歴史を物語風に再現したノンフィクションです。
登場人物の一人一人がいきいきと描かれていますが、ある意味、普通の家庭とも言えます。
ですから物語の出だしではあまりエンジンがかからず、本書の面白さがどこにあるのかやや分かりにくい感じがします。

ところが読み進めていくうちに、こどもが成長し、軍隊へ行き、あるいは結婚して家庭をもち、そんな具合に各人のドラマが転がり始めていくと、読む方も感情移入しますから、大河ドラマに引き込まれるように、ページをめくる手が止まらなくなります。

びっくりするような大きなドラマはなくても、「昭和」という「時代性」や「世相」が実に見事に浮かび上がってくるのです。
講談社ノンフィクション賞を受賞したのも当然でしょう。

この世の中に親のいない人はいませんから(一般論ですよ)、誰でも自分の歴史は書けるわけです。
だけどそれを一般の本として出版することは容易ではありません。工藤さんの作家としての力量がはっきりと出ているなと思いました。
沢木耕太郎さんの「無名」もそういう意味ですごい本ですよね。