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大学病院の患者はモルモットか?2013年06月12日 21時13分46秒

数カ月前、ある患者さんに関して、今は問題ないけど、いずれ問題が出てくる可能性があるので、じっくりと取り組んだ方が良いと考えて大学病院の小児外科に紹介状を書きました。
その後の経過を気にしていましたが、大学から返信は来ず、それは別に珍しいことではないので、ま、そのままにしていました。

先日、その子がうちのクリニックに来院したので、結果はどうでした?と聞いてみたら、何と受診していませんとの返事。
僕なりに時間をかけて根回しして紹介状を書いたので、正直がっかりしました。
で、理由を聞いてみたら、要は大学病院というのは患者を実験材料に扱うからだと言います。
なるほど、そうですか。

開業医をやっていると、数年に1回くらい、そういうことを言われます。
ま、逆に言えば僕も患者からそういう目で見られていたのでしょう。
真夜中に就寝中に電話で呼び出され、無給で緊急手術をした後で、退院の時に「おい、本当に手術は必要だったのかい?」とまるでゴロツキみたいな言いがかりを付けられたこともあります。
僕らの説明も不十分だったのかもしれませんが、こんな真夜中に手術をしてくれる施設など、大学病院以外にどこにも無いのだと、どうして理解してくれないのでしょうか?

それは置いておいて、件の患者さんは、そういう理由で大学に行かなかったと。
「白い巨塔」のようなドラマを見ると、そういう誤解が生まれてしまうのかもしれないですね。
だけど、20年前の話をすれば、医者に「人権感覚」が薄かった事実は否定できないと思います。あくまでも今から20年前です。

僕が研修医だった頃、僕より年齢が10歳以上の世代は、患者に対する「思いやり」とか「優しさ」とか「丁寧さ」が著しく欠けていました。
その世代の人間たちが「教授」をやっていたのですから、そういう「教授」に教わった僕なぞ、出来損ないの医者です。
ですが、そういう上官を反面教師にしながら、自分なりの「思いやり」とか「優しさ」とか「丁寧さ」を憶えていったつもりです。
いや、それは患者さんから教わったことかもしれない。
子どもに教えてもらったということでしょう。

旧い世代の医者に、なぜ、「思いやり」とか「優しさ」とか「丁寧さ」が無いのでしょう?
なぜ、彼らは財前五郎のような医者なんでしょうか?
理由はよく分かりませんが、昔は「末は博士か大臣か」という言葉があったように、医者(博士)というのは不当に社会的地位が高かったのは間違いないでしょう。
それで増長したのかもしれません。

現代の患者家族が未だに大学病院をそういう場所と思い込んでいるならば、本当に彼らの罪は重いと考えます。

くり返しますが、これは昔話です。
現在は、大学病院もこども病院も、「思いやり」とか「優しさ」とか「丁寧さ」に溢れた医者ばかりです。