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「腰痛探検家」 (集英社文庫) 高野 秀行2013年03月30日 22時11分39秒

腰痛探検家
「謎の独立国家 ソマリランド」が余りにも面白かったので、本書を読んでみました。

辺境探検家・文筆家の高野さんが腰痛に苦しむ話です。
いや、苦しんでいるのだろうか? 腰痛を愛しているのではないだろうか?
ま、とにかく様々な治療法を求めて探検(これは比喩)していく話です。

この本を読んでいると、整形外科医が腰痛の治療に対してまるで熱心でないような印象を受けると思いますが、ええ、その通りですよ。
腰痛の患者さんというのはこの世にいくらでもいますから、その一人一人に丁寧にお付き合いしていく時間的な余裕は、整形外科医にはありません。
ぼくも一時期腰痛に困りましたが、大きな期待を抱くことなく整形外科へ行き、「コルセット」「内服薬」「冷湿布」を出してもらいました。

安静がいいとか、適度の運動がいいとか、世間には様々な言い伝えがありますよね。
つまりどれも利かないということです。
しかし人間の体というのは不思議なもので、時間の経過と共に何となく良くなってしまうものです。

西洋医学がいいのか、東洋医学がいいのか、はたまた民間療法がいいのか?
ま、どれも利かないでしょう。

さてこの本も大変面白く読みました。
「ソマリランド」とは少し違った面白さですが。
ぼくが先日「g2」でインタビューした内澤旬子さんと、高野さんは友人なんですね。
だからでしょうか、ユーモアのセンスが似ています。
たとえ話の面白さですね。
だけど若干テイストが違う感じがします。
高野さんの方がカラッと明るいですよね。内澤さんが暗いと言っている訳ではありませんが。
高野さんにしても、内澤さんにしても、こういうユーモアはどこから来るのかな?
先天性? それとも養った人間性?

ぼくは凡人だし、教養が無いからこういうユーモラスな文章は書けないな。
喜怒哀楽の中で一番難しい表現は「喜」、つまり人を笑わせることだと思います。
自分の腰痛をネタにして本を一冊書き上げるなんてさすがプロだと思います。