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古本でびっくり2012年12月01日 23時51分09秒

何度も書いているように、ぼくはAmazonからけっこう古本を買います。
「当たり」が出ればいいのですが、やはり「はずれ」てしまうことが多々あり、異臭がしたり変色がきついと読まずに処分してしまうこともあります。

一応、買うにあたっては本のコンディションの説明書きをちゃんと読むんですが、、、かなりいい加減ですよね?

先日買った本は専門書。
だからかも知れませんが、至るところに鉛筆で書き込みがありました。
こんなもん、「商品」のレベルに到達しているんだろうか??

ところがね、その書き込みがけっこう良い線をいっているんですね。
ちゃんと読み込んで、肝心なポイントを抑えている。
ま、ぼくも資料として読んでいるんだから、あまり腹を立てなくていいかなと。

だけどね、一応、書き込みがあることくらい、買う前に情報として知っておきたいものです。

さて、師走。
12月28日までがんばるぞ!

激突! 早明ラグビー2012年12月02日 23時26分54秒

100回目のラグビー早明戦。
そのうち何回を見たのか、自分でも分かりませんが、30年前から見続けているので相当な数の試合を見ているのは間違いないでしょう。

早稲田のプレー・スタイルは昔に比べてだいぶ変わりましたが、明治は一貫している印象があります。
だけど時代は変わっても、「押す明治」、「耐える早稲田」という構図は同じです。

今日の試合もまさにそんな感じ。
ゲーム終了直前に、明治が押して押して押しまくる。
早稲田は耐えて耐えて耐えまくる。
まるで時代劇を見ているかのように毎回同じ展開なのですが、やはり思わず手に汗握ってしまいます。

そしてついに・・・・明治の逆転「トライ+ゴール」と共にノーサイド。
野球で言えば「逆転サヨナラ勝ち」といったところでしょう。

明治の吉田監督は感極まって泣いていましたね。
いい試合でした。

だけど、早稲田がとった「1番2番」のトライはちょっとつまらなかった。
それから明治の認定トライも、ちょっと試合に水を差したと思います。
早稲田が悪いという意味でなく、レフリングに関してです。

社会人では神戸製鋼が復活しつつあるようです。
ぼくは一応、神戸製鋼のファンなので、今後の展開が楽しみです。
日本代表チームのヨーロッパ遠征もいい成績だったようで、W杯に向かって少しずつでも人気が高まればいいですね。

形ばかりの年賀状2012年12月03日 21時16分20秒

12月になったので、年賀状の準備をしなければなりません。
昨年のこの時期にも同じことを書いたと思いますが、「年賀状とはなんぞや?」という問題です。

6年前まで、ぼくの人間関係は「千葉大・小児外科」に限局されていたので、毎日ツラを突き合わせている先輩や後輩に年賀状を送っていた訳です。

ですが、現在は開業医となって、「千葉大・小児外科」というのはぼくの人生の中で大きな意味を持ちません。
もちろん、「千葉大・小児外科」の人でなおかつ今でも友人付き合いをしている人も何人かいますが、年賀状だけの付き合いで何年も顔を見ていない人も多数。
親戚も同様。
最後に会って40年くらい経った人もいる。


一方で、この6年くらいで親しくなった友人・知人も多数。
だけど現代の人間関係は電子メールですから、彼ら・彼女らの住所を知らない。
だから親しい人には年賀状が書けないのですね。

かと言って、年賀状を書かないことで人間関係が危うくなるかというとそういうことは全くない。
つまり年賀状はまったく無用な存在かも? というところです。

年賀状の本来の由来は、「新年の挨拶に伺うべきなのだが、行けないので、代わりに年賀状を送る」ということにあります。
原点に立ち返って、虚礼は少しずつやめる方向で考えたいと思っています。

親しい友人にはFacebookで挨拶すれば、それで終わりですかね。

取材に行き、悩む2012年12月05日 23時59分13秒

千葉市心身障害者ワークホームという所へ取材に行ってきました。

知的障害の人が日常を過ごす憩いの場であると共に、軽作業をして賃金を得ています。

写真はここで作られていたポーチ。
障害者の母親たちの作品ですね。

ここを訪れた理由は、「老壮介護」。
障害者の最高年齢は50歳なんです。

テーマが深すぎてちょっと解決できないところへ入り込んでしまいました。

悩むのをやめる2012年12月06日 23時18分40秒

ま、悩んでもしかたないので、悩むことをやめることにしました。

最近は専門書ばかりを読んでいるので、書評は書いていません。
ところが相変わらず、このブログは読まれていないようです。

内容が下らないのか、筆力が落ちたのか、いずれにしてもぼくが老化していることと関係あるのでしょう。

そろそろ潮時かも。

潮時と言えば、民主党も潮時。
今度の総選挙では自民党が圧勝する勢いだそうです。

昨年の原発震災で、日本中があれ程苦しんだのに、それに懲りず原発を継続する自民党。
その自民党を支持する私たち。
毎週、官邸を取り囲む「原発反対」のデモって一体何?
何でしょう、私たちの民族性って。
選挙を通じて、私たちの意志を国家に反映させるということの意味を、私たちは理解していないのではないでしょうか?
何のための選挙でしょうか?

原発は永遠に不滅ですね。
自民党が政権を獲るのは結構ですが、中国との間で軍事衝突することだけはやめてくださいね。
それからインフレ・ターゲットと簡単に言いますが、物価が上がって私たちの給料が上がらない生活はやめてくださいね。

だけど、自民党と維新の会で、議席の3/4を取りそうな勢い。
本当に日本人って、右に偏った国民性になりましたね。
うちは娘ふたりでよかった。そのうち徴兵制になるかもしれませんね。

生命倫理について考える2012年12月08日 00時04分52秒

最近は専門書ばかりを読んでいます。

読んでいるうちに自分の洞察も深くなったような気がします。
Aという論が立つ。するとBという反対の論が立つ。
こんな具合で生命倫理には万人が納得する答えがありません。

ぼくも最初は様々な意見に翻弄され、Aの意見に納得したり、Bの意見に納得したりしていました。
ところがだんだん、Aの意見にもBの意見にも動じなくなった。
つまりそういった多様な意見が出てきても、意外な気持ちを持たない。
自分ですでに先に考えている。

哲学者や生命倫理学者の意見を大所から見渡せるようになっているのですね。
なぜだろうと思うと、それは自分にも確たる生命倫理があったから。
それは、外科医たるものは何も考えてはいけないという倫理。
だって外科医なんて、手術で患者の命を救うしか能が無いのだから、四の五の言わずに命を助けていればいい。

そうすると机上の神学論争が幼稚に見えてくるし、だんだん惑わされなくなってくる。
エヴェレット・クープ先生なんて、一人の先天奇形の赤ちゃんに38回手術をした経験があるそうです。
どんな命でも必死で助ける。
これこそが小児外科医の生命倫理ではないでしょうか?

あとの評価を下すのは、哲学者や宗教家かぼくは知りませんが、命を見捨てておいて、倫理も何もないでしょう。

今夜も読むべき本が山積みです。

心の狭い医者2012年12月10日 18時45分41秒

facebookをやっていると、誕生日にお祝いのメッセージをもらいます。
去年はけっこうな数のお祝いを頂きましたが、今年はわずか。
何でしょう? この人望のなさ。

FBで友だち登録をした人が、減ることはあっても増えることはあまりありません。
人間長く生きて友人が増えるかというと、そうでもないんですね。

ま、それはぼくだけの問題かもしれません。
この人望のなさを分析すると、以下のような理由が考えられます。

1 アカ(治安維持法があったら、死刑になっている)
2 偏屈・天の邪鬼・へそ曲がり(先天的なので根治困難。だけど、これによって優れた科学業績を上げた面もある)
3 心が狭い(カール・ゴッチに共通する欠点。アントニオ猪木にはなれない)
4 クソ真面目(患者さんに、いい加減な説明ができない。場合によっては、親を追い込むので、クリニックはあまり流行らない)
5 バカ正義感が強い(大学の不正などを告発したがる。でも度胸がないのでできない)
6 神経質(ぼくより神経質な人を、これまでの人生で見た経験がない)

こんなところでしょう。
考えてみれば、うちの家内は本当に苦労していると思います。
楽にダラダラ生きることも可能なのですが、常に難しい道ばかりを選ぶ亭主。
楽しい食卓の場で、マルクスの話とか水平社の話をされたら、たいていの女房は嫌になってしまいますよね。
だからぼくは本当に感謝していますよ。
喧嘩だって一度もしたことがありません。

こんな人間で、申し訳ありませんが、クリニックはあと13年続けるつもりなので、皆さんどうぞお付き合い願います。

「赦す人」 (新潮社)大崎 善生2012年12月12日 23時41分36秒

赦す人
大変面白くて一気に読んでしまいました。

大崎さんは将棋関係のノンフィクションで作家として活動を開始して、その後はフィクションに進んだんですね。
本作は久しぶりのノンフィクションということになる訳です。

この本は、団鬼六さんの評伝。
「赦す人」というのは、団さんを裏切ってきた人を赦してしまう彼の性格を言っているのです。

この本の構成は実に不思議で、団さんの一代を描いているのですが、若い頃の団さんを描く部分は、大崎さんが団さんを伴って、昔懐かしの場所を再訪する形で語られていきます。
ロードムービー風なんですね。
そして本の後半には、ちょっと団さんを離れて、ある有名なアマチュア棋士の話が丁寧に書かれていたり、自伝みたいな部分があるんです。
本筋とはやや離れるのですが、ここの部分も大変面白い。
特にぼくは若き大崎青年の苦悩みたいな部分がとてもよかった。
そして最後には、この本ができあがった舞台裏みたいなことが書いてあって、団さんと一緒に取材旅行にいく最初の頃に話が戻る。
このへんの構成はかなり考え抜いたのではないでしょうか?

団さんの魅力は大崎さんの筆によって、生き生きと表現されています。
快楽こそが人生のすべてと考える団さんは、直木賞などには全然興味を持たず、自分の文学を単なるエロと卑下し、ユーモアは忘れず、ヘボ将棋は指し、稼いだお金は全部お酒と女に使ってしまいます。

「ピストルと荊冠」で小西邦彦さんが100億円稼いでも満足できないと言ったように、団さんもいくら遊んでも遊び足りなかったそうです。

その団さんにも死の影が訪れ、団さんは死に怯えることになります。
最後まで悟りを啓けなかったのは、遊び足りなかったからでしょうか?
「死は観光だ」という台詞は、ちょっと強がりに聞こえました。カッコ良かったけど。

死を目前に控えた団さんの体を、娘さんが拭いてあげる場面は思わず落涙しそうになりました。
いいですね、こういう親娘の姿は。

ぜひ、お勧めです。傑作評伝です。

「自立と共生を語る―障害者・高齢者と家族・社会」 大江 健三郎, 川島 みどり, 正村 公宏, 上田 敏2012年12月13日 23時14分24秒

ぼくが高校生時代、もっとも影響を受けたのは大江健三郎先生です。
初期の作品はすべて読んでいますが、「個人的な体験」より後はあまり読んでいません。
原発反対のデモなどは、文学者として表現の手段に疑問を感じたりしますが、それを含めて大江先生の人生の形ということなのでしょう。

今回、このような対談形式の本を読みました。
で、うなってしまった。やはり大江先生は偉大なり。
素晴らしい言葉を持っている。

大事な言葉がたくさん出てきますが、医療従事者が学ぶべきことは・・・「豊かな人間性を養うこと」などと言われると背筋が伸びてしまいます。
「患者の人間性を尊重することが、自分自身の仕事を尊重する」という言葉や、
「ばらばらのものをある総合性をもって捉えていく、という態度がどうも文学の根本」という言葉。
こういう言葉はなかなか発することはできません。
その他、「初老期のIdentity」にはモデルがないとか、実に鋭い分析だと感動しました。

人間が困難に突き当たり、それを受容したり、逆戻りしたり、大江先生はそれを「仮の受容」と言っていますが、医学の世界では「障害受容の螺旋形モデル」と言います。
そしてその先にあるもは、「人生の肯定」。
素晴らしい言葉です。

ぼくがこの歳になって「Identity」を掴めないのは、ある意味、今までの人生が「否定され」続けてきたからでしょう。
だから、もがき、苦しみ、さらに自分から苦悩の中に光を探しにいって、また苦しくなってしまう。
息ができなくなって水面に顔を上げても、また懲りずに潜っていく訳です。

そういう自分の状況を大江先生が文字にしてくれる。
これが「文学」の力だし、こういった作業を「総合」とか「統合」と言うのだと思います。

青春時代に大江先生の著作をたくさん読んでおいて本当によかったとしみじみ思いました。

新型出生前診断とマスメディア2012年12月14日 21時25分52秒

新型出生前診断の最大の問題点は、マスメディアの報道の仕方にあると考えるようになりました。
特に新聞です。
新聞は私たち国民から最も信頼されているメディアなので、いい加減な情報が流れると、国中に差別と偏見をばらまくことになります。

新型出生前診断でダウン症を診断する場合、以下のように数字で検査の精度を言い表すことができます。

ダウン症の赤ちゃんを「ダウン症です」と正確に言い当てる確率は、99.1%。
ダウン症ではない赤ちゃんを「ダウン症ではない」と正確に言い当てる確率は、99.9%。

上記のことを以て、新型出生前診断は99%以上の確率でダウン症を診断できるとマスメディアは報じます。

ですがこれは正しい数字でしょうか?

35歳の妊婦さんからは、0.3%の確率でダウン症の赤ちゃんが産まれます。
では、5万人の35歳の妊婦さんがこの検査を受けると仮定します。
5万人中、150人がダウン症として産まれます。
残りの49850人はダウン症ではありません。
その150人のうち、検査によって、99.1%にあたる149人はダウン症と「予言」されます。
49850人のうち、検査によって、(100%−99.9%=) 0.1%にあたる50人はダウン症と「予言」されてしまいます。
つまり、149人+50人=199人が「ダウン症と予言」される訳です。
しかし実際にダウン症は、199人中の149人だけ。
検査で陽性と言われても、その的中率は、149÷199=75%となる訳です。

全然99%以上の正確さ、、、ではないでしょ?

この記事をここまで読んでくれた読者は、ああ、面倒くさい計算だなあと思ったでしょ?
マスメディアも、多分読者が読んでくれないと思って、詳しく丁寧に書いていないのだと思います。
そういうことで、国民的な議論が深まるか大変疑問に思います。

ではぼくはこの検査をどう思っているのか?
それは敢えて言いません。
現在、いろいろな人に話を聞かせて頂いているので、ぼくは白紙の状態で取材を続ける予定です。