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「暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出」(新潮社)彩瀬 まる2012年11月17日 23時21分40秒

暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出
小説家が書いたルポです。
一人旅をしていた福島で「3・11」に遭遇し、善意の人たちの助けを借りながら埼玉の自宅に帰るまでが、イントロダクションです。

小説家が書く文章ですから、当然ながら、ノンフィクション作家とは、全然手触りの違う文体になっています。
非常に内省的でナイーブな語り口。

被災地からの脱出の後は、2度の再訪の物語になります。
そういう意味では本のタイトルはちょっと文学的すぎるかなと思いました。

「終わりに」で、この本を書いた意図が述べられていますが、確かに原発震災というのは、経験したものにしか分からない。
だからこうやって経験者が記録に残すことはとても重要だと思います。

今度の総選挙で自民党が政権をとっても、長い年月でみればやはり原発はなくなっていくものと(希望を込めて)予測します。
問題はその手順なんです。
デモもいいと思いますが、そういう時間はもっと有効に、現地を支援するとか、原発無き後の福島の経済をどう再生させるかとか、ゼロ・イチのデジタルみたいにあまりにも簡単に「原発反対」を叫ばないで、じっくりと福島の人に思いを馳せて欲しいと思います。

この作家さんは、千葉県千葉市生まれなんですね。
なんだか親しみを感じてしまう。
1986年生まれ?
ぼくが研修医の時に赤ちゃんだった年代だ。
・・・・ぼくも歳を取った。

お勧めの良書です。