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「ビッグデータ社会の希望と憂鬱」 (河出文庫) 森 健2012年11月09日 20時52分55秒

ビッグデータ社会の希望と憂鬱
一昨日、作者の森健さんにプレゼントされたので、早速読んでみました。
ビッグデータとは何か。
これを説明すると、本の内容をすべて説明してしまうことになるので、それはちょっと無理でしょう。
現在はあまり一般的な言葉ではないと思いますが、しだいにビッグデータという言葉は普通に使われるようになっていくかもしれません。
まあ、大雑把に言えばネットやICタグを通じて、巨大な個人情報が私企業に蓄積されている状態がビッグデータ社会です。

そういう社会に希望があるかというと、それは何とも寒々しいもので、やはり憂鬱な部分の方が多いということになります。

本書は、2005年に発刊された単行本を下敷きにしているため、2005年と2012年のデジタル社会の比較にもなっており、私たちが今住む社会が、どう変わってきたか、そしてどうなっているかをクリアに説明してくれます。

ぼくは医学部を卒業しているので、一応、「理系」ということになっていますが、こういった世界の話は極めて苦手。
要は知識がないのです。
コンピューターに関する専門用語などはほとんど分からず、従ってウインドウズは使い方が分かりません。
言葉もそう。
「Web 2.0」という単語は何度も聞いてきましたが、意味はよく分かりません。
ですので、ぼく自身の知識不足で理解できない点が多々ありましたが、作者の森さんが提起する問題意識や危機感はとてもよく分かりました。

森さんはたしか早稲田の法学部卒業。
「文系」の人がよくぞここまで専門的なことを書けるなと驚きます。
そしてこの本では文体がすごく硬質でシャープなんですね。
もちろん悪い意味ではありません。
ですが、「『つなみ』の子どもたち」の筆の流れ方とあまりに違うので、これもびっくり。
さすがにプロの物書きだなと感じ入ってしまいます。

ぼくの兄は典型的な「理系」人間で、こういった話には極めて詳しいので、兄が読んだらきっと楽しめるでしょう。
FBを通じて早速呼びかけてみましょう。
ん? ぼくもけっこうデジタル人間か?

お勧めの一冊です。