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「北朝鮮に消えた友と私の物語」 (文春文庫) 萩原 遼2012年10月19日 22時32分08秒

北朝鮮に消えた友と私の物語
これも大宅賞を受賞した名作です。
赤旗の特派員記者が、どんな目で北朝鮮を見てきたのだろうと興味津々で読みました。
ここに描かれる北朝鮮の内情は大変に寒々しいものがあります。
この本で一番訴えたかったのは、この部分なのかもしれません。

ただ本の構成にはちょっと違和感がありました。
終盤になると、自己の体験談ではなくて、調べたことの解説のようになってしまいます。
著者の友人の若き日の活躍の伝え聞きなどとは、まったく色合いの違う展開になります。
余りにも政治的な話で、正直興味が持てない部分もありました。

在日朝鮮人の帰国運動に関しては、梁石日の小説に繰り返し、その当時の熱狂が描かれています。
あちらは小説ですから、比べてはいけないかもしれませんが、日本人の目から表現することの限界もあるのかなと思いました。