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「火花―北条民雄の生涯」 (角川文庫) 高山 文彦2012年05月03日 18時05分49秒

火花―北条民雄の生涯
かなり前に読んだ作品ですが、今回、再読しました。

出だしが重く、歯車が回り始めるのに時間がかかるのは、高山さんの文体だと思います。
ノンフィクション文学は、往々にして読みやすさ(伝えやすさ)を優先するために、舞台となる「場所」の風景描写が弱かったりします。
どうしても、インタビューで引き出した台詞が中心になって。
しかし高山さんはそういう部分を丁寧に力強く書きます。
ですから作品に重みと厚みが出ます。
筆力が非常にしっかりしていることの証左でしょうね。

さて題材は、「北条民雄の生涯」。
ぼくはこの人を知りませんでした。
ノンフィクションは、「人」を描くか「事件」を描くかのどちらかに大別されますが、本書は「人」を描いています。
「有名人」の評伝を書くなら、資料も豊富で、様々な人にインタビューできますから、プロであれば必ずしも難しくはありますまい。おそらく。
だけど、北条民雄もその周辺の人達も、ほとんどの人がすでにお亡くなりになっていますから、この本を書き上げるのはかなり難しかったと思います。

北条民雄を選んだこと自体が素晴らしいし、彼の生涯をここまで描き出したのですから、やはり本書は傑作と言えるし、ノンフィクション文学の一つの頂点の形を示していると言えるでしょう。

この本の中で、北条民雄の生き方ももちろん読み応えがあったのですが、「東条」という友人の物語もよかった。
結婚かさもなくば自死を選ぶかの場面です。
あそこは読んでいて本当に切なくなりました。

「人生は暗い。だがたたかう火花が、一瞬暗闇を照らすこともあるのだ」

「火花」というのは良い言葉ですが、やはり北条民雄には「一瞬」という言葉がよく似合います。

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