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西村賢太対話集(新潮社)西村 賢太2012年04月25日 22時16分44秒

西村賢太対話集
面白くてあっと言う間に読んでしまいました。
西村さんの語りとか私小説はある意味ワンパターンなのですが、それがなぜか多彩なワンパターンなんですね。
同じことを言っているのですが、言葉が潤沢だから、くだらなくないんです。
露悪的に見えるけど、本人は露悪ではないと言う。
石原慎太郎にカッコ悪いくらいにへつらっているように見えながら、実はそれが単なるポーズに見えたりする。
本が何万部売れて、印税がいくら入ったとか、とても通俗的に見えたりするんだけど、ちゃんと文学議論をしていたり。

何でしょう、この人は。
底が透けて見える振りをしているだけなんでしょうか?

しかし純文学を書いている作家で、こうやって個人の対話集を大手出版社から発刊できる人など、今の文学状況では西村さんくらいしかいないのではないでしょうか?

ぼくは「苦役列車」を読んだ時に、この人は文学者として生き延びていくと直感しましたが、そのひらめきはどうやら正しかったようです。
次作が楽しみです。