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「重い障害を生きるということ」 (岩波新書) 高谷 清2012年02月08日 18時23分24秒

重い障害を生きるということ (岩波新書)
大変良い本だと思いました。
ぼく自身、重度心身障害者の手術を何例か行った経験がありますので、深く考えさせられる点が多々ありました。
こういった本が専門書ではなく、岩波新書のような一般書という形で出版されるのはとても良いことだと思います。

ですが敢えて書かせて頂くと、本書の前半の方に出て来る専門的な内容は、正直なところ難しすぎてよく理解できませんでした。
一般の人にはさらに理解が困難であると推測されます。
こういった部分を含めて、本をどういう構成で作るか、作者と編集者はかなり考えたと思いますが、ある意味、もっとシンプルに、あるいは(誤解を恐れずに言えば)イージーに作った方が、より多くの人の胸に響いたように思えます。

本書のテーマは「生きていることがかわいそう」に見える重度心身障害者が、そういう問いかけ自体が間違っていることを論証していくことにあります。

3.11の悲劇の後で、「絆」という言葉がたくさん使われ、テレビやラジオの番組でもやたらに「一人ひとりができることをしよう」などという呼びかけが飛び交っています。
だけど、ぼくには正直違和感がある。
言葉だけではダメだと思う。
行動がなくては。

大震災と原発事故で苦しむ人たちと絆を結んで連携しようと思うならば、こういった重度心身障害者とも連携しないと、それは偽善だと思います。
障害者を人間として認めようとしない知事を選ぶ選挙民が、本当に「同じ日本人」として東北を支援できるのか、ぼくには甚だ疑問なのです。

結局こういった差別は最終的に天皇制にまでつながっていくとぼくは思っているのですが、ま、こういうことを書くとまた嫌がらせを受けるのでやめておきます。