アクセスカウンター
アクセスカウンター

「がんを生きる子」(講談社)は、こんな本2011年11月11日 22時36分45秒

前の2作と大きく違う点がふたつあります。
一つは長編ということ。そしてもう一つは、本の骨格が家族へのインタビューで成り立っているということです。
このインタビューは11カ月に及びました。

本作は、主人公の「ゆうき」ちゃんが生まれる9年前に話が始まります。
家族の歴史がスタートし、「ゆうき」は3歳で大腿の横紋筋肉腫(小児がん)に冒されます。
骨に転移をしたがんを治すため、壮絶な治療が行われます。
この辺りの記述は家族の側から視点と、ぼくの視点と両方から描かれます。
そして、命と引き換えに「ゆうき」は肢体不自由の障害者となるのですが、家族は学校と力を合わせて、その障害に立ち向かっていくという闘病記です。
最後の方は、もうぼくの手を離れるので、ぼくはあまり登場しません。
およそ20年の家族の歴史を描いたことになります。

技術的なことを言えば、元の原稿の不要な部分を削りに削りました。
最終的には、一つの言葉、一つの文字に拘って本を完成させました。

本を書くのはこれで最後、そういうつもりで書きましたから、最後の最後まで神経を集中して推敲しました。
渾身の一作です。
これまでのぼくの本の中で明らかに完成度の高い作品に仕上がったと思っています。

「家族」とは「生きる」とは「人生を選択する」とは、どういうことなのか、「何かを得るために、何を失う」とはどういうことなのかを丁寧に描いたつもりです。

ぜひ、読んでみてください。
256ページで、1575円(税込み)です。
予約できます。

http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4062173506/gansenka-1-22/ref=nosim

装画は、お気づきの人も多いとおもいますが、いわさきちひろ様です。