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さようなら、Steve Jobs2011年10月19日 21時56分42秒

さようなら、Steve Jobs
会ったこともない人の訃報に接し、落涙したなどと言うのは生まれて初めての経験です。

ぼくがなぜ、Jobsを尊敬しているかその理由を書きましょう。

「医学」の世界には「いずれ誰かが」論があります。
利根川博士がノーベル賞を受賞した時、ノーベル賞選考委員会は、「100年に1度の発見だ」と賛辞を送りました。
しかしそれは誉めすぎだと思います。
なぜならば、ノーベル賞は毎年誰かが受賞するからです。
つまりどんな賞も「1年に1度の発見」なのです。

利根川博士は免疫の多様性を解き明かしたのは、当時としては確かに大発見でしょう。
しかし科学は進みます。
ぼくは大学院に進学して分子生物学を学んだ時、「え? なぜ利根川先生の仕事がノーベル賞を受賞できたの?」と驚いたものです。
数年の間に技術が進んでしまったのですね。

つまり利根川先生のお仕事は、利根川先生がやらなくても「いずれ誰かが」成し遂げていた可能性が極めて高いのです。
これは利根川先生を貶しているのではなく、すべての研究に言えることなのです。
利根川先生は免疫学者ではありません。
したがって「なぜ、免疫は多様なのか」という命題を自分で出した訳ではありません。

命題がまず存在し、世界中の学者が一番乗りを目指して競争し、その競争に利根川博士が勝ったということなのです。

Jobsの偉大さは、自分で問いを作り、その解答を示したことにあります。
別の言い方をすれば、Jobsがいなければ、未来永劫、iPodもiPhoneもiPadも(製品という意味でなく、概念上という意味で)存在していないと、ぼくには思われるのです。

数百年すれば人はJobsをダ・ヴィンチと並び称するとソフトバンクの孫さんは言いました。
ぼくにはその予言や表現が正しいのかよく分かりません。
だけど、世界の近代史の中でもっとも偉大だった「知」と同列にあると思います。
それは具体的には、マルクス、アインシュタイン、フロイトです。

歴史を変えることができると信じる人間が、歴史を変えたきた。
Jobsの言葉です。
そして実際、彼はわたしたちのライフスタイルを変え、人生の価値観の変革をもたらしました。

Stay hungry, Stay foolish、これも有名なJobsの言葉です。
みなさんはこれをどう翻訳しますか?
ぼくならこう訳します。

知的好奇心を持ち続けよう、おりこうさんになっちゃいけないよ。

同時代に生きてくれてありがとう、Steve Jobs。

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