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「命のカレンダー」にサインを求められる2011年06月17日 22時44分15秒

2008年に出版した「命のカレンダー 小児固形がんと闘う」(講談社)は、今でも細々と売れている気配です。

今日、某有名製薬会社の営業ガールから、拙著にサインを求められました。

この本に登場するのは11人の子ども。
一人一人が忘れられない子どもたちです。
ですが、この本を書くきっかけとなった子どもと言えば、それは第4章に登場する夏美ちゃん以外に考えられません。

夏美ちゃんの闘病は本当に辛かった。
こんな悪性の病気があるのかと思うほど、凄まじいスピードで病気が進行していく。
いくら知恵を絞っても、病気を治す方法が浮かばない。
残された命がどれほどあるのかとぼくたちが思っても、ご両親は最後の最後まで夏美ちゃんが助かることだけを念じて祈っている。

その強烈なプレッシャーに、ぼくは毎日、胃を抑えながら通勤しました。
たぶん、胃潰瘍になっていたのでしょう。
その時に思ったものです。

ああ、もっと普通の人生だってあったはずだと。
いえ、その生き方が嫌だと言っている訳ではありません。
でも普通とは違う世界がこの世にはあって、ぼくはそこに嵌り込んで抜けることができないと思ったのです。
そして、こういう世界がこの世にはあることを、いつか何かの方法で世間に伝えなければいけないと思ったのです。

そういう経験をして、良かったかと聞かれれば、ぼくは人間として根が深くなったと思うので悪くなかったと思います。
だけど、夏美ちゃんの魂は今、どこにあって、夏美ちゃんのきょうだいは今どういう思いで生きているのか、それは大変気になります。

本を書くにあたってご両親とはコンタクトを取りました。
会話も交わしました。
しかしある意味は言葉は必要無かったというか、すべてがお互いに心が通じ合っていたような気がします。

ぼくの人生があと何十年か知りませんが、死ぬまで、いえ、死ぬ瞬間まで忘れられない子どもです。