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「越境者 松田優作」(新潮文庫)松田美智子2010年08月13日 20時50分30秒

「松田優作」という俳優さんは、僕たちの世代の人間からすると、そうとう思い入れの強い対象です。

小中学生の頃に、「なんじゃあ、こりゃあ!」という彼の物まねをやったことがない男子などはまずいないのではないでしょうか?

この本はそんな彼を描いた評伝ですが、なんと著者は、彼の「元・奥さん」。
この松田美智子さんという方は、ノンフィクションライターなんですね。

さて、本を読んでみて、内容自体は大変面白いと思いましたが、「松田優作」という人間にはまったく共感が湧きません。
俳優とはこういう人種と言われてしまえばそれまでですが、あまりにエキセントリック・暴力的・傲岸な私生活にびっくり仰天です。

揚げ句の果てに、奥さんは捨てられてしまって、これじゃあ、あんまりです。

松田さんの人生の終末も、あれはあれで一つの選択かなとは思いますが、僕はまったく憧れない。

本の技術的なことを言うと、意味のとりにくい文章がいくつかあったことが残念。
また、誤字もありましたよ。
「決してない」という文章が、誤って「けしてない」になっていました。
さらに言えば、「現・奥さん」のインタビューがあれば完璧だった。それは無理か。

映画「ブラックレイン」での松田さんのカッコ良さは永遠に不滅で、その評価を変える気は全然ありません。

「タクシー狂躁曲」(ちくま文庫)梁石日2010年08月14日 21時10分43秒

梁さんの本はこれまで相当の数を読んできましたが、デビュー作であるこの本は未読でした。
一番の理由は、新品を入手できないからです。
致し方ないので、今回、Amazonの中古で購入しました。

で、読んでみて、その文章の力に驚きました。
比喩を使った「詩」的な表現が多いのですが、それは梁さんがかつて詩を作っていたからでしょう。
一つのことを表現するのに、上にさらに色を厚く塗り重ねていくのが梁さんの特徴。
過剰・重複・相補というくらいに、語る、あの語り口。

そういった文体の魅力は、このデビュー作ですでに完成、いや、もしかしたら、ここが頂点だったかもしれません。

この本が絶版状態にあるというのは、本当に残念。
こういう作品こそ電子化して、きれいな状態で多くの人に読まれるといいですね。

なお、この本は「月はどっちに出ている」という題で映画化され、大ヒットしました。
専門家の間でも高く評価されました。
崔洋一監督です。
ところが、この映画もDVDで入手不可能なんです。
これも残念。

文化を担っている企業は、損得抜きでがんばってもらいたいものです。

「無敵のハンディキャップ」(文春文庫)北島行徳2010年08月15日 22時05分01秒

サブタイトルは「障害者がプロレスラーになった日」です。

プロレスに興味があったのではなく、障害者という言葉に引きつけられて読みました。
この本は第20回講談社ノンフィクション賞を受賞したそうですが、それも当然と言えるような面白い作品でした。

対象がよく書けているし、自分のこともよく書けている。

特に、健常人の女性が、脳性麻痺を持った重度障害の男性と結婚するまでを描いた章は、本当に読みごたえがありました。

障害者がなぜプロレスをやるのか?
それを理解するためには、障害者の問題に対する基礎的な知識が必要だし、プロレスとはなんぞやという知識も少しは必要でしょう。
そういう意味では、この本は、少し難しい本かもしれません。

でも僕は傑作だと思いますよ。
障害者のプロレス、おおいにけっこうじゃないですか?
世間からひんしゅくを買おうが、どうであろうが、もっともっと自分を表現していいと思います。

そんなことは、健常者だろうが、障害者だろうが、関係なし。
いや、障害者であるからこそ、もっと大きな声で世の中に出ていっていいのだと思います。

なお、この本もAmazonの中古で買いました。
良い本がことごとく絶版というのはちょっと悲しいですね。

「大東亜共栄圏」バンザイ!2010年08月16日 19時50分17秒

大戦の敗戦から65年が経過した今年の夏。
民主党が政権をとっていたために、国辱丸出しの政治家の恥ずかしい光景は今年は少なかったようです。
日韓併合100年にあたっての菅総理大臣の談話も良かったと思います。

昨日はテレビ東京で、先の大戦を振り返る長時間の番組が放送されていました。
「テレビ」という枠の中にあっては、けっこう善戦してた、そういう良い番組でした。

かつて日本は東南アジアの国々を占領しました。
とりわけ、朝鮮半島は植民地となり、中国には満州という傀儡国家が作られました。

インドシナ半島からサイパン、フィリピン、南洋まで、日本は侵略を進めました。
当時、これらの国々はヨーロッパ列強の植民地だったのですが、後から来た日本がその地位を奪い取った訳です。
つまり日本は遅れてきた帝国軍。

その際、日本にはカッコいいキャッチコピーが必要でした。
そこで考え出されたのが「大東亜共栄圏」「八紘一宇」です。
ヨーロッパ列強から東南アジアの国々を守り、その独立を支えるために、日本が指導的立場で牽引するといううたい文句です。
しかしそんな実態はどこにも無かったことは、今日、中国・韓国が日本に対して持っている怨念を考えれば自明でしょう。

残念ながら「大東亜共栄圏」という言葉は歴史的に血で汚れています。
こういった台詞を、現代のアジアで口にすれば、たちまち尊敬を失い、猜疑心を抱かれ、信頼ならない傲岸な奴と思われます。

個人のレベルで、誰が何をどう発言しようと自由ですが、なんらかの集団のリーダーとなるべき人間は、最低限の歴史を学び、言葉に重みを持ってもらいたいものです。

「バンコクの妻と娘」(文春文庫)近藤紘一2010年08月17日 21時42分29秒

バンコクの妻と娘
もはや古典になっている近藤さんの「サイゴンから来た妻と娘」。
それが余りにも面白かったので、続編であるこの本を読みました。

自分の娘の勉強と思春期の成長に関する話がほとんどで、前著のようにベトナムの文化に触れるような内容はほとんどありません。
またタイの文化もあまり述べていません。

それでも1冊書ききってしまうのは、近藤さんの筆力。
子育ての考え方について、僕とはずいぶん違うなと思える箇所が多々ありましたが、ま、それは違いを楽しめばいいという感じ。

本論とはあまり関係ありませんが、近藤さんの筆がベトナム政府から反感を買って好ましく思われていなかったという部分にはちょっと興味を惹かれました。
歴史の捉え方にはいくつもの道がありますからね。
「国家統一」や「民族自決」ということよりも、社会主義化による官僚主義や全体主義への批判が、近藤さんは強かったようですね。

この本の魅力はいろいろありますが、一番良いのは、カバーデザイン。
僕もこういう家族の写真をぜひ撮影したいです。

千葉大学病院・探訪記2010年08月18日 23時44分50秒

今日は休診日ですが、大学へ出かけてきました。
目的は2つあって、そのうちの1つはいつも書いているように、小児がんのフォローアップ外来を行うためです。

もう1つは、自身の健康問題。
手足の痺れは半年を越えて、今日はついに神経内科を受診することになりました。

朝8時15分に大学病院に到着。
番号札を取ると25番。

8時30分から受付が始まり、僕が呼ばれたのは15分後でした。

神経内科に行って待つこと数分。
9時に予約が入っていましたが、ほぼ時間通りに名前を呼ばれました。

症状を述べて、診察を受けて。
はっきりした病名はつきませんでしたが、それは逆に言えば、何らかの深刻な病気ではないということを意味します。
単なる老化現象でしょうか??

3週間後に神経伝達速度の検査を予約し、血液検査を受けました。
中央採血室に行って、名前を呼ばれると、なんと担当の看護師さんは、昔、手術室にいた人で、さんざんお世話になったベテランさんでした。

すべてが終わったのが9時30分。
小児外科に戻ると、ちょうど僕の患者さんが到着したところで、僕は悠々と診察を開始しました。

さて、明日は自分のクリニックで患者さんを診察しましょう。
悠々とできるといいのですが。

温度の変化に夏バテ2010年08月19日 23時12分29秒

毎日、猛暑ですね。

僕のように一日中、クリニックにこもって診療をしていると、暑さはあまり関係ないように、みなさんは思われるかもしれません。

たしかにエアコンを効かせて、温度と湿度を調整していますからね。
しかしお昼はエアコンを切って、窓を開けるんです。

これはもちろん空気の入れ替えが目的。
するとクリニック内は急激に暑くなって、そして午後の診療開始前には急激に冷却されます。

こういった温度の変化って、あまり体にいい影響を与えないような気がします。
暑いこと自体よりも、温度の変化で夏バテするような気が。

ですが、エアコンは使わざるを得ませんから、まあ、しかたがないのでしょう。
あまり急激に温度を変化させないことが肝要かもしれません。

「絵はがきにされた少年」(集英社文庫)藤原章生2010年08月20日 19時54分34秒

絵はがきにされた少年

毎日新聞ローマ支局の藤原章生の本、「絵はがきにされた少年」が文庫本になりました!

この本のあとがきにも書いてあるように、単行本というのは重い。そして値段がはります。
従ってこうやって文庫本になれば、さらに多くの人が手に取ってくれるでしょう。

この本は第三回開高健ノンフィクション賞を受賞した作品ですが、受賞うんぬんは関係なく、本当に面白い本です。
アフリカに興味がない人にも面白い。
つまり本好きであれば、絶対に面白く読める本です。

まだ読んでいない人はぜひ読んでみてください。

孫 俊清 先生に会う2010年08月22日 18時28分24秒

タオの気功
毎日新聞ローマ支局の藤原章生記者が一時帰国し、その彼に今日、渋谷で会ってきました。

旧交を温めるのが目的ですが、実はもう一人、お会いした人物がいました。
藤原君の紹介で引き合わせて頂いて方は、孫 俊清 先生。

気功の大家として知られた先生です。
先生の活動の拠点はスペインのマドリッド。
そして活動の範囲は南ヨーロッパに広がっているそうです。
つまり、孫先生もたまたま現在、日本に滞在している訳です。

http://mainichi.jp/select/world/news/20100816ddm012030051000c.html

僕が首の不調から手足が痺れると何度もここで書いていたため、心配した藤原君が、孫先生に会って話をしてみろと勧めてくれたのです。
孫先生に教わったことはとてもたくさんあって、ここで書き切ることはできません。
もし、少しでも気功に興味があるかたは、孫先生の本を読んでみてください。
一番大事なことは「呼吸法」だそうです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4806745286/shikoujouhoum-22/ref=nosim

気功を使って患者さんの治療をする方法もあるようです。

気功を続ける2010年08月24日 12時07分34秒

クリニックは混雑する時間帯もありますが、静かに時間が流れる時もあります。
一人一人丁寧に診ることができるので、有りがたく思います。

お昼休みには、孫先生から習った気功で呼吸法の改善を行いましょう。

ゆっくりと少しずつ続けるのが大事だそうです。