梁さんの本はこれまで相当の数を読んできましたが、デビュー作であるこの本は未読でした。
一番の理由は、新品を入手できないからです。
致し方ないので、今回、Amazonの中古で購入しました。
で、読んでみて、その文章の力に驚きました。
比喩を使った「詩」的な表現が多いのですが、それは梁さんがかつて詩を作っていたからでしょう。
一つのことを表現するのに、上にさらに色を厚く塗り重ねていくのが梁さんの特徴。
過剰・重複・相補というくらいに、語る、あの語り口。
そういった文体の魅力は、このデビュー作ですでに完成、いや、もしかしたら、ここが頂点だったかもしれません。
この本が絶版状態にあるというのは、本当に残念。
こういう作品こそ電子化して、きれいな状態で多くの人に読まれるといいですね。
なお、この本は「月はどっちに出ている」という題で映画化され、大ヒットしました。
専門家の間でも高く評価されました。
崔洋一監督です。
ところが、この映画もDVDで入手不可能なんです。
これも残念。
文化を担っている企業は、損得抜きでがんばってもらいたいものです。
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