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WT1ワクチン療法2006年05月03日 19時33分44秒

今朝の朝日新聞を見ていたら、大阪大学が研究を進めて来たWT1がんワクチン療法の臨床試験が全国規模で行われるとのことです。素晴らしいことではないですか。基礎医学の進歩が臨床試験に至るというのは、科学者にとっては最高の喜びのはずです。ところで、このWTとは一体、なんのことでしょう?
これは小児の腎臓に発生するウイルムス腫瘍(Wilms Tumor)の頭文字です。この腫瘍の一部では家族性に発生することやある特定の合併奇形を伴うことがあり、その際、よく見られる染色体異常からがん抑制遺伝子が存在することが推定されていました。この遺伝子がクローニングされWT1と名付けられた訳です。ところが、いざ、この遺伝子が作るたんぱく質の働きを研究してみると、成人の白血病などで重要な役割があることが分かったのです。
今回の臨床研究の対象疾患を見てみると、ウイルムス腫瘍や神経芽腫まで入っているではありませんか?非常にびっくりして今度は対象年齢を見てみると、16才以上。。。。言いたいことはお分かりですね?
小児がんと闘病しているみなさん、くれぐれも惑わされないで下さいね。蛇足ですが、臨床試験のホームページにある「神経芽細胞腫」という病名は正しくありません。「神経芽腫」です。

独善的な医者はだれ?2006年05月03日 22時20分12秒

昨日のブログで、千葉市医師会長から開業医の心構えを教えて頂きましたと書きました。その内容は、こういうことです。開業医は一人で診療するため、他の医者からの批判を受けたりする機会が減り、独善的な考え方、医療行為に陥るあやうさがあるということです。これは本当に肝に銘じておかなければいけないお言葉です。しかし、独善的な医者は必ずしも開業医に多いとは僕は思いません。勤務医であろうが、大学病院であろうが、トップに立つ人間は他の医者から批判を受けませんから、独善的になることがあります。
僕の尊敬するある大学教授が、「教授なんて裸の王様だ」と言っていたことをよく憶えています。これは、その教授先生の自戒の言葉であるのと同時に、そういう裸の王様をたくさん、見て来たのでしょう。「王様は裸だ!」の一言が発せられることは、外科の世界ではほとんどありえません。それくらい、徒弟制が徹底したピラミッド型の世界だからです。
僕が開業後も千葉大病院に関係を持ち続ける理由のひとつには、このあたりのことも関係します。独りよがりにならないよう、大学の小児科、小児外科の先生たちとの交流を続けて行きたいと思っています。もちろん、医師会の中のいろいろな方々とも新たな関係を築きたいと思っています。
そうすれば、裸にならないですむでしょう。「俺様クリニック」じゃ、3日で潰れちゃいます!